3つの銀行口座を使い分け、事業拡大にはトランザクションレンディングを。 創業期法人におすすめする、金融機関の活用方法。

アカウンティングフォース税理士法人
代表
加瀬 剛
Kase Takeshi

Profile

東京都文京区生まれ。板橋区早川久夫税理士事務所に就職し、往査担当として各業種の税務・会計、調査立会、相続の申告等を行う。2010 年に東京都文京区にて独立。

実際に法人を設立した後、銀行口座はどこを選べば良いのか、資金調達はどうすればよいのか。最初の一歩に頭を悩ませる経営者も多いのではないでしょうか。そんな創業期の法人サポートに注力し、各種アドバイザリー業務を行うアカウンティングフォース税理士法人代表の加瀬剛氏に、創業期に心がけるべきことについてお話を伺いました。

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Point1 メガバンク・ネット専業銀行・信金を創業期から併用すべき
-信用創出とコストカット、次のチャンスのために-

ーー創業の経緯を教えてください

 叔父にあたる故・早川久夫先生が経営する税理士事務所で働き、約12年間在籍した後、独立しました。独立にあたっては、早川先生より「『あなたについて行きたい』というお客さまがいるなら連れて行っていいよ」と言われまして、実際に何件かお客さまがついて来てくださったので、とても恵まれた形で送り出してもらいました。

 ところが、その約1年後に早川先生が急逝し、私が税理士事務所の後継者となる形で事業を始めることになりました。幸いにも、現在、共同代表を務めている私の弟も会社勤めを辞めて税理士として独立しようとしているタイミングだったので、弟を誘って、二人で事務所を継ぐ形になりました。

 事務所の編成に伴って従業員が退職する中、残ったのは若手のスタッフ7名でした。そこで、自分達が若いからこそ、若手の経営者向けに特化したサービスを強みにしたいと考え、創業期・スタートアップのお客さま向けのサービスを始めたのが今から7年前のことです。

 その結果、我々と近い世代の若い新規のお客さまが増えてきています。特に、準備すべき資本金額、必要書類の種類、法人登記の手順についてのアドバイスがほしいというご相談をいただくことが多いですね。具体的に1年間のスケジュールを作成しながら、お客さまが「いつから何を始めていくのか」という予定を明確にするためのお手伝いをしています。

ーー創業期の経営者の方はどんな悩みを抱えていますか?

 まずは、口座開設にあたり、どの金融機関を選べば良いかわからないという悩みです。弊社では、お客さまに「理想は、準備時間が取りやすい創業前の段階で、以下の3つの口座を開設すること」をおすすめしています。

 1つ目は、売上金額を入金するメガバンクの口座。メガバンクは取引口座として信用があるので振込先として請求書に記載するために使用します。2つ目は、支払用途にネット専業銀行の口座。手間が省けるうえ、他の銀行と比較して手数料も安いです。特に、基本料金や振込手数料が安く、土日も稼働している点が有用です。3つ目は、会社の近隣にある信用金庫の口座。ネット銀行でカバーできない引き落としを補完でき、融資や経営支援などを受けられる可能性があります。

 この時、ありがちなのが、メガバンクで口座開設の審査に通らないという悩みです。この場合、弊社が提携している銀行の担当者をお客さまに紹介し、弊社が仲介役となって銀行口座を作るお手伝いもしています。その際には、「この銀行の口座でなければいけない」といったお客さまのご事情もしっかり考慮します。税理士事務所が後ろ盾になることで会社の信用度が増し、口座が開設できる可能性が上がります。万が一開設できなくても、条件に合う他の銀行をご紹介して対応します。

Point2 店舗拡大や人材採用など、創業期の資金ニーズにとってトランザクションレディングは有力な選択肢になる
-決算書不要で、他の金融機関で難しかった借入を実現可能に-

ーー創業期の企業が借入を検討する場合、どのように進めるのが良いでしょうか

 創業1期目は資金調達の選択肢が少なく、銀行、または保証協会付きの融資はまず難しいです。審査に要する決算書がないからです。そのため、創業時の融資は日本政策金融公庫を活用するのが主流ですね。

 実は、多くの経営者がさらに困っているのが、その後の1・2年です。開業して、事業が順調に成長し、次にお店をもう一店舗出したい、もっと良い人材を採用したい、といった事業拡大のための資金調達ニーズはあるんですが、やはり審査に通る内容の決算書が1・2年分ないと借入は難しいんです。これまでは、お客さまからご相談いただいても、選択肢が見つからないために、「時期尚早ですね、条件が揃っていないので待ってください」という話になってしまうことが多くありました。そのため、事業のチャンスロスになってしまうことが非常にもったいないと感じました。

ーー何か解決策として提案できることはありますか?

 日々の口座の利用データに基づき、借入が可能なトランザクションレンディングの仕組みは、そうした課題の一つの解決策になるのではないかと期待を寄せています。住信SBIネット銀行の「dayta」の場合、決算書の提出が不要で、所定の条件を満たした口座利用者であれば、借入条件(借入可能額および借入利率)のオファーが受取れます。これまでの限られた選択肢に、新しい枠が一つ増えたような感覚ですね。

※借入条件(借入可能額および借入利率)は、当社所定の条件を満たしたお客さまに、メール等にてお知らせします。

 例えば、飲食店や美容系の店舗型ビジネスを生業にする経営者の中には、人の流れや流行りを踏まえて、より良い条件の場所があればすぐに引越したいというお客さまが多いです。ほかにも、良い物件や人材が他社に取られてしまわないよう、「今すぐに資金を用意したい」というニーズは多いんです。こんなとき、「dayta」があれば、経営者の夢の実現のスピードを落とさずに済むのではないかと思います。

Point3 成長期は社長依存しない体制づくりが重要
-経理担当を決めて、社長が事業拡大に注力できる組織に-

ーー創業期から会社が成長して次のフェーズに入る際、何に取り組むべきでしょうか

 まずは、経理部隊を作るべきだと思います。社長が信頼できる金庫番を作り、その人がリアルタイムで業績を確認できるようにします。我々のような税理士が一緒にそれをチェックして、事業の方向性や税制、金額の予想値などについてアドバイスをもらいながら、共に議論していくのが良いと思います。特に事業拡大期の企業は、組織体制づくりに注力することをおすすめします。社長が意思決定に集中できる環境の組織を作ることが理想です。社長が経理に関わる時間を減らし、その分営業活動や取引に注力してほしいからです。

ーー最後に、これからのビジョンを教えてください

 我々のビジョンは、「中小企業の夢を実現する」ことです。まずは「会社を拡大したい」「店舗をたくさん出店したい」等などの、経営者の目標を明確化し、その実現をお手伝いするのが私達の仕事です。

 具体的には、まずはお客さまご自身が持っている夢を、可視化して、いつまでに実現したいかを決めていきます。大学ノートなどに年表をつくると良いですね。それを見せていただければ資金の流れの予想がつくので、一緒にシミュレーションすることが可能です。もし、資金予想の結果がマイナスなら独立は待つべき、プラスなら独立できる状態であるということが導き出せます。

 今後もより多くのお客さまと夢を共有できるよう頑張っていきたいと思います。

『 あなたの夢は何ですか? 』

※2019年5月16日付で、商品名称を「レンディング・ワン」から「dayta」に変更いたします。

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