法人のお客さま お客様の声
ここぞという時踏ん張るために、トランザクションレンディングが有効。 多くの企業の資金調達のサポートをしてきた公認会計士・税理士が考える、創業期の資金繰りの秘訣。
- 公開日:2021年9月30日
- 更新日:2024年10月 8日

セブンセンス税理士法人
- Profile
- 飲食業界で働きつつ、コンサル会社への転職を目指し公認会計士試験を受験。合格後、有限責任監査法人トーマツへ入所。金融インダストリーグループにて、主に銀行、証券、保険会社の監査に従事。
トーマツ退所後は、資金調達支援、資本政策策定支援、補助金申請支援などで多数の支援経験を持つ。
また、スタートアップ企業の育成・支援にも力をいれており、各種アクセラレーションプログラムでのメンタリングや講義、ピッチイベントでの審査員および協賛などにも精力的に関わっている。
税理士法人でありながら、通常の会計・税務顧問以外にも財務戦略立案や資金調達のサポートなどにも力を入れるセブンセンス税理士法人 ディレクターの大野 修平氏。創業期からIPO目前の会社まで多くの企業の資金繰りに関わってきた大野さんに金融機関や金融サービスの上手な活用方法について伺った。
Point1 中小企業の経営者に寄り添うため、税務処理だけでなく資金繰りまでサポート

ーー事業内容を教えてください
我々は「チャレンジing✕チェンジing≒セブンセンス」というグループ理念の下、通常の会計・税務顧問に加えて財務戦略立案や資金調達のサポートを行なっています。未来のビジョンをかなえるために必要な事項について、提案し、実行をお手伝いするハンズオンでの支援が特徴です。お客さまは、フリーランスからIPO直前の会社まで幅広くいらっしゃいます。
グループの中で主に私が担当している分野に、金融機関からの資金調達支援があります。資金繰りに悩みを抱えつつも、相談相手がおらず、弊社に支援をご依頼されるかたも多いですね。中小企業経営者の皆さんは、最新の補助金や融資情報についてキャッチアップできていないケースは多いです。
そんな中、我々が補助金や融資のサポートまでできているのは、事務所内に顧問先を1社も持たずに資金繰りの支援だけを行うチームを持っているからです。役割を分け、分業しているのは税理士業界の中では珍しい方だと思います。
事務所としては、安定した売上を上げるためには税務顧問として企業に入る方が良いです。ただ、企業にとって税務処理は決算後に必要になる作業で、いわば経営する上での最後の最後の仕事です。その前段階で困っている企業はたくさんあり、そんな企業に寄り添うためには資金繰りの話は避けては通れません。多くの企業の力になるためには融資について専門的な知見からのサポートが必要だと考えています。
Point2 自己資金があっても創業融資は受けるべき

ーー多くの企業の資金繰りをサポートしてきた大野さんから見て、会社創業当初はどのように資金繰りを進めればいいのか教えてください。
創業当初は、仮に自己資金がある場合でも日本政策金融公庫(以下「公庫」という)などから融資を受けるべきだと思います。創業1年目で赤字になってしまえば、おそらく債務超過になっているはず。債務超過になっていて手元資金もない。その状態で、公庫や信用金庫・銀行に借入の申込をしても、融資を受けるのは難しい。ですので、会社設立後なるべく早く、できれば設立前の、まだ赤字を計上していない段階で、「自分のこういう経歴を活かして、こういうビジネスをしていきたいんです」と、アピールして、計画的に資金調達をされたほうが良いと思います。
金融機関からの資金調達を積極的に支援している税理士法人があるといううわさをどこかで聞いて、債務超過になっていて手元資金もない状態で「大野さん、どうにかなりませんか?」とご相談いただくことが過去に何回かありました。「あと1年早く出会いたかった...」と感じるシーンも多いのが現状です。
お金を借りるんだったら、少なくとも起業してすぐ。すぐは難しくても半年以内に必ずやって欲しい。ここで1回お金借りておけば手元資金も増えますし、何より金融機関との付き合いが始まる。これが重要です。1年間返済実績を作る。その状態で、金融機関に追加融資の相談をすると「今はまだ創業赤字で苦しんでるけど、少しずつ黒字が見えはじめた、付き合いのあるお客さま」として金融機関も見てくれる。結果的に「融資を受けて、そのお金を使わなかった」という場合もあると思います。金利を気にされる方もいらっしゃいますが、この低金利の時代、どれくらい負担があるのか実際に計算してみれば、返済実績を作るメリットをわかっていただけると思います。
Point3 複数の金融機関と付き合うことで、緊張感のある正常な付き合いができる

ーー金融機関との取引は1社から借り続けるのが良いのでしょうか?
普通のビジネス上の取引と同じように考えたらいいと思います。例えば、仕入先を1社だけに絞ってしまうと、その仕入先からの供給が絶えたら、ビジネスは成り立ちません。また、仕入先のいいなりになってしまったり、値段も高くなったり、納期も遅くなることもあると思います。複数の取引先と付き合い、健全な競争状態を作ることで、緊張感のある正常な付き合いができると思うのです。
そして、それは金融機関との付き合いも同じです。少し面倒くさいとは思いますが、公庫とのやりとりが始まったあとは、信用金庫や比較的小規模の地方銀行ともお付き合いを始めると良いと思います。 金融機関のかたが飛び込みで営業に来た場合でも、邪険に扱ったりせず、一度招き入れて融資相談などすると良いでしょう。
ーー企業の適切な手元資金(キャッシュ)についてはどう考えていますでしょうか?
難しいところではありますが、その目安として、多くのかたが売上2ヶ月とか3ヶ月とおっしゃられていて、僕も感覚的にはそうだと思っています。通常時は、それくらいの手元資金を目安にしていれば、万が一取引先からの入金が遅れたりしてもしのげます。ただ、経営をしていると「今はアクセルを踏むときだな」つまり「先行投資をすべきだな」という時期が訪れます。
そのときに、自己資金を使ってしまうと、手元資金が少なくなってしまいます。投資をする際には、資金ショートをおこさないためにも、しっかりと資金調達することが重要だと思います。理論的には資金調達の利率よりも高いROI(Return of investment 投資利益率)が見込めるのであれば、なるべく多く資金調達をして投資すべきです。ただ、現実は予想通りには進みませんので、そこはしっかりとした見極めが必要です。
その最初の一歩として、僕たちはクライアントと一緒に緻密な事業計画書を作成し、必要な資金調達額を算定しています。
Point4 トランザクションレンディングは緊急避難的な切り札

ーー会社経営において、どの経営者も一度や二度は、計画通りに事業を成長させられないこともあると思います。うまくいっていない時は、どのように資金繰りすべきでしょうか?
業績が悪化している時、最優先すべきなのは追加融資ではなく業績改善です。ビジネスモデル、収益改善、コスト削減、カルチャー、人事評価制度などあらゆる切り口から自社の状況を見直し、うまくいってない原因を見極め、手当てする必要があります。それと同時に、改善をしていく上での事業計画書を作り、金融機関に追加融資の相談を行います。
金融機関も貸倒れすることは望んでいません。うまくいかない原因は分かっていて、その改善計画があるとなれば、融資をしてくれます。ただ、金融機関の審査や、そもそもの事業計画の作成にはある程度時間を要します。例えば、融資がおりるまでに1ヶ月間かかることもあり、その場合は1ヶ月間、なんとかつないでいかなければなりません。その対応として、トランザクションレンディングを利用するのは、多少金利が高くても借入期間を考えると、悪くない選択肢だと思います。
ただ、中小企業の利益率はそんなに高くないので、トランザクションレンディングで長く借りるのは難しいです。トランザクションレンディングは緊急避難的な切り札として認識しておくことが重要だと思います。また、事業成長の有無に関わらず、どんな状況であっても「この支払いを済ませないと」というタイミングは必ず来ます。そんな状況をしのぐ手段としても使えると思います。どんな企業ステージにあろうと、そういった一時的で、突発的な調達としては適していると思います。
Point5 全ての人が夢を叶えられる社会の実現のために

ーーこれからの展望を教えてください
財務戦略立案や資金調達のサポートの分野はニーズがあるので、事務所の規模を拡大し、関われるお客さまの数を増やしていきたいと考えています。また、高度な融資施策に対応できる人の育成にも力を入れたいです。
とはいえ、自分たちだけでは全ての中小企業の課題解決をすることは難しいと思っています。だからこそ全国の様々な士業やコンサルの方々と協力していきたいです。様々な知見を集めることで、より高度な支援が達成できると思っています。
今後も、最新の情報をキャッチアップしつつ、ビジョンの実現に向けて邁進していきたいです。