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創業融資とは何?融資の種類、申請手順、審査ポイントを解説

  • 公開日:2021年12月 6日

創業時、融資による資金をもとに事業を進めていく場合や、事業を進めていくなかで資金が不足する場合があります。このような創業時にも融資を受けることはできるのでしょうか?また融資を受ける場合、どこに申し込めばいいのか、どれくらいの返済期間や利率になるのか気になるでしょう。そこで創業融資の種類から審査手順、審査ポイントまでを解説します。

創業融資とは?

起業・独立を考えたときまず考えることの1つに資金があります。資金の調達方法としては、自分自身で貯めておく、親族友人から借りる、金融機関から借りるなどさまざまありますが、その中でも金融機関から借りる場合には「創業融資」という制度を活用することができます。

創業融資は金融機関により条件が多少異なりますが、多くの場合、新たに事業を始める人または事業を開始してから税務申告を2期終えていない人が対象となります。
また多くの場合、創業融資を受けるには、

  1. 融資を受けようとする金額の一定量の自己資金を保有していること
  2. 開業から2期以上経ったあとの法人化(法人成り)は対象とならないこと
  3. 創業計画書の提出が必要

などの条件があります。
創業融資を受ける場合には事前に金融機関が提示する条件を確認しましょう。

融資はどこから受けられるか?

創業融資を受けられる金融機関はどこか、どのような特徴があるのかを紹介します。

政府系金融機関

政府系金融機関と位置付けられているのは、

  1. 日本政策投資銀行
  2. 日本政策金融公庫
  3. 商工組合中央金庫
  4. 住宅金融支援機構

の4つです。

このなかで創業融資をおこなっているのは、2の「日本政策金融公庫」となります。

地方自治体

地方自治体においても政府系金融機関や民間の金融機関と協力して各自治体独自の融資制度を展開しています。たとえば、大阪府では、創業時や創業から5年未満で資金が必要な方を対象にした「開業サポート資金(開業資金)」をはじめ、13の融資メニューがあります。

出典:大阪府│制度融資(信用保証付き)のご案内

各市町村においては保証料や利息について補助制度を実施している場合もありますので、事業所などの所在地の市町村からの情報はよく確認してください。

民間金融機関

都市銀行や地方銀行、信用金庫など民間の金融機関はそれぞれ独自の融資商品・サービスを展開しています。
基本的に取扱われる融資商品・融資サービスは、

  1. 保証協会付き融資
  2. プロパー融資
  3. 制度融資

があります。
いずれも詳細は後述します。

融資額と返済期間

融資と一言で言っても、金融機関や制度、商品・サービス、会社や事業者の状況により条件は異なります。そのためどのような融資を受けたいのかをしっかりと判断し、返済期間や利率について検討することが重要です。

まずは日本政策金融公庫がおすすめ

業融資の代表的な融資元は、日本政策金融公庫です。
日本政策金融公庫とは、国の政策にもとづき取組みをおこなっていて、その政策の中には新たな事業の創出等による日本経済の成長・発展への貢献や、地域活性化への貢献といった目的が含まれています。そのため日本政策金融公庫は創業融資について積極的に取組んでいて、創業融資を受ける場合にはまず日本政策金融公庫を検討することをおすすめします。

日本政策金融金庫は大きく3つの事業を構成しており、それぞれの事業により融資制度が異なります。それぞれの事業とその主な目的は以下の通りです。

  • 国民生活事業
    個人企業や小規模企業向けの小口資金を融資。2019年度末の平均融資残高は703万円。短期の運転資金も取扱いしている。
  • 中小企業事業
    中小企業向けの長期事業資金を融資。2019年度末の平均融資残高は約1.2億円。短期の運転資金は取扱いしていない。
  • 農林水産事業
    農林漁業や国産農林水産物を取扱う加工流通分野の長期事業資金を融資。

出典:
日本政策金融金庫|国民生活事業-融資実績-融資の状況
日本政策金融金庫|中小企業事業-融資実績-融資の状況

日本政策金融公庫の特徴

国の政策を実現することを目的としているため、民間の金融機関に比べると比較的融資を受けやすいといえます。そのため銀行に対する信用や実績、事業の実績がない創業時においても事業計画などがしっかりとしていれば、比較的融資は受けやすいです。

また、代表者の連帯保証が必須ではありませんが、実務上、法人の代表者は連帯保証を求められます。
保証協会付き融資などと比べると審査期間が比較的短くなっていることも特徴の1つです。

なお、必ずしも記載されている融資限度額や返済期限いっぱいまで借りられるわけではなく、資金使途や事業計画内容、資金計画などから総合的に判断の上融資金額や返済期間、利率が確定します。

日本政策金融公庫の融資プラン例

日本政策金融公庫にはさまざまな融資制度があります。その中でも創業時に活用できる制度を紹介します。

申込みから融資実行までの流れ

日本政策金融公庫への創業融資の申込みは、必要書類を提出し、面談、その後担当者による現地確認がおこなわれます。問題がなく無事審査を通過すれば借用書や振込先口座の登録用紙などが届きます。それを返信した後、振込となります。

書類作成、提出

融資の申込みに必要な書類は日本政策金融公庫のHPからダウンロードすることができ、記載見本も併せて確認することができます。

創業融資の場合には「借入申込書」「創業計画書」「企業概要書」等を作成して、法人の場合には、「履歴事項全部証明書」も併せて提出します。

創業融資の場合の書類の作成は、作成者の得手不得手によりますが、早ければ1日もかからずに完成させることができる内容となっています。

面談・審査

書類の提出が終わると担当者と面談です。一般的には申込み後、1~2週間で面談となります。

面談で注意しなければならないのは、面談相手はあくまでも担当者であり、審査をおこない決定の判断をするのはその担当者の上司や支店長、本部であるということです。つまり、面談は担当者が上司へ作成し提出する稟議書の材料となるものなので、これからおこなう事業内容や、これまでの経歴、事業の展望や目標などを担当者が理解し上司に説明しやすいよう伝えることが重要です。

もし口頭による説明だけだと理解してもらいにくい場合には資料にして持参し、担当者へ渡して説明することも理解してもらううえでは有効になります。

また日本政策金融公庫では面談の際、家賃や住宅ローン、水道光熱費など毎月定期的に引落としに使用している事業主個人の通帳を持参する必要があります。これは期日管理がしっかりとできている人であるか否かを確認するためです。引落とし日に引落としがおこなわれていないと、融資返済も同様に返済期限までに支払いがされない可能性が高いとして融資を断られる材料となる場合がありますので注意してください。

審査通過・契約

一般的には、面談後1~2週間で審査結果が通知されます。無事に審査が終わり融資実行となった場合、日本政策金融公庫から

  • ご契約に関する重要なご案内
  • ご融資のお知らせ・借用証書
  • 預金口座振替利用届
  • ご融資条件欄およびその他のご融資条件補助票に記載された書類(ある場合のみ)

などが送られてきます。

これらの書類について必要事項を記入の上、日本政策金融公庫に返信します。その際には、印鑑証明書、送金先口座の預金通帳・当座照合票、収入印紙を同封します。詳しくは送られてくる「ご契約に関する重要なご案内」に記載されています。

融資実行(入金)

必要書類および添付書類を返送すればあとは入金を待ちます。入金までのスケジュールはその時々により異なりますが、書類等に不備がなければ、書類が日本政策金融公庫の入金センターに届いてからおおよそ3営業日後に融資金が振込まれます。

保証協会付き融資

保証協会付き融資とは、民間の金融機関からの借入をおこなう際に、信用保証協会が借入をおこなう者の信用保証をおこなうという制度です。保証協会の保証には借入をおこなう事業者や借入の条件などにより、借入額に一定率を乗じて計算した保証料の支払いが発生します。

信用保証協会とは

通常民間の金融機関は創業時や初めて融資を受ける方には審査のハードルが高くなります。それは信用や実績などがない・少ないためです。しかしそれでは中小企業や小規模事業者が十分な融資を受けることは実質不可能となってしまいます。そこで公的な保証人となり、融資を受けやすくするために設立された公的機関が信用保証協会です。

借入をおこなう際に信用保証協会が保証人となり、万が一、借入の返済ができなくなった場合、借主に代わって民間の金融機関に対して保証をおこないます。その後は借主と信用保証協会が返済金について協議し、借主は信用保証協会に対して返済をします。

日本政策金融公庫は自身が資金の貸付をおこなう一方、信用保証協会は貸付せず、民間の金融機関の貸付に対する保証をおこなうのみです。

対象者・融資条件

【対象者】
信用保証協会は、信用保証協会法にもとづき、中小企業・小規模事業者の金融円滑化のために設立された公的機関です。そのため保証協会の保証対象者は中小企業・小規模事業者となります。

【融資条件】
保証協会付き融資では信用保証協会と貸付をおこなう民間金融機関の両方の審査があります。

申込みから融資実行までの流れ

保証協会付き融資の申込みについて説明します。

保証協会付きの融資の申込み方法

保証協会付きの融資は、民間の金融機関から借入の申込みをおこなう際に金融機関経由で申込むケースと、先に保証協会へ申込み後に民間の金融機関に借入申請をする2つのケースがあります。一般的には民間の金融機関に借入を申込んだ場合に金融機関から提案されることがほとんどですので、以下ではそのケースの申込み後の流れを紹介します。

融資実行までの流れ

申込み後は審査があります。審査は、信用保証協会の審査と、融資をする民間の金融機関との審査の2つです。多くの場合は民間の金融機関での審査よりも信用保証協会の審査で指摘事項があります。

創業融資の場合はほとんど関係ありませんが、税務申告を終えている場合は売上高の項目の中に定款・謄本で定める会社の目的に含まれない事業の収入が計上されていると指摘を受けますので、決算書作成の際には注意が必要です。

無事審査を通過すると融資の実行と信用保証料の支払いがあります。信用保証料とは信用保証協会に対して支払う保証に対する費用の支払いです。保証料は受ける制度により異なりますので、詳しくは都道府県の信用保証協会のHPまたは保証料シミュレーションを確認してください。

銀行、信用金庫の創業融資

民間の金融機関からの借入は、一般的に保証協会付き融資以外に、プロパー融資と制度融資があります。

プロパー融資とは、その金融機関独自の融資のことで、保証協会などの保証を利用しない融資をいいます。基本的には民間の金融機関は保証協会と連携をして創業融資制度を提供していますので、創業時に信用保証協会を利用せず民間の金融機関からプロパー融資を受けることは非常に困難です。可能性があるとすれば、保証協会との創業融資制度を有しておらず、「少ない金額」「短い返済期間」「返済後保証協会を利用した融資を新たに受けること」を条件に、新規融資先営業をしている金融機関を探して利用する程度です。銀行と直接取引をおこなうため、対象者、限度額、利率、審査方法などの条件はそれぞれの金融機関ごとに異なります。

また、制度融資とは、地方自治体や民間の金融機関、保証協会などが連携しておこなう融資制度をいいます。

創業融資で審査を通過するために押さえておくポイント

創業融資で審査を通過するために大切なポイントは、次の4つです。

  • 事業計画書の内容は実現可能性があるか
  • 経営者となる人の経験はどうか
  • 計画通りに売上が上がるような状況にあるか
  • 経営者をサポートしてくれるメンターはいるか

【事業計画書の内容は実現可能性があるか】
事業計画が絵に描いた餅では意味がありません。なにをしていくら売上が上がるのか、そのためには仕入、人件費、外注費、経費はどうするかなど、数字を照らし合わせます。それにより、同業他社や業界平均などと比べて無理がないか、現実味があるか、矛盾はないかを多角的な視点で検討することが大切です。

【経営者となる人の経験はどうか】
経営者となる人がどれだけ志が高く、熱い気持ちをもっていたとしても、全く経験がなかったり、経験が浅かったりすると成功する可能性が低いと考えられざるを得ません。今まで培ってきた経験や知識を活用できる業種業態であるか確認しましょう。

【計画通りに売上が上がるような状況にあるか】
既に取引先がいるような場合、売買契約書や注文書、覚書などを追加の書類として提出することにより、事業計画に少しでも信用性をもたせることができます。これらの書類がある場合には積極的に開示することをおすすめします。

【経営をサポートしてくれるメンターはいるか】
事業をおこなうとさまざまな想定外の出来事が起こります。そうした時に経験豊富・知識豊富なメンターがいてサポートしてもらえるとリスクを回避でき、事業成功への近道となります。ただしこれは絶対必要というわけではなく、いると有利になるといったものです。

考え方の重要なポイントは「貸す側の立場に立って考える」ことです。もし自分が他人にお金を貸すとした場合、どうであれば少しでも安心して貸すことができるかを踏まえて、準備するようにしましょう。

審査が通過しないケース

審査が通らない多くの原因は、「資金使途が明確でない」「事業計画との整合性が取れない」ことです。筆者はこれまで多くの法人個人の創業融資や追加融資に携わってきましたが、資金を借りようとする方の多くが返済能力(担保さえあれば借りられるなど)ばかりを気にされていました。

金融機関は融資した資金を事業によって返済してもらうことが基本的視点となります。そしてこの返済能力を判断する一番重要な要素が、資金使途と事業計画との整合性なのです。
なぜなら、資金使途と事業計画との整合性が取れないということはその事業計画が虚偽である恐れや事業として成り立たない恐れ、そもそも経営者に計画性がないという判断になり、貸しても貸倒れるリスクが高くなると考えられるからです。担保があれば無条件に、保証人がいれば無条件に融資を受けられるわけではありません。

個人事業主と法人ではどちらが創業融資を受けやすいのか

筆者は、個人事業主と法人ではどちらが融資を受けやすいかと質問を受けることがよくあります。結論から言うとそれぞれの状況により異なります。先述の通り、資金使途に合理性・計画性があるか、その金額が適正か、事業計画自体に無理や矛盾はないか、経営者としての経験や資質はどうかなどにより判断されます。

ただし、信用という点では、法人のほうが個人よりも高くなる場合があります。それは個人事業主に対して貸付をおこなう場合、基本的には保証人を設定しないため万が一の場合回収可能性が低くなるからです。一方、法人に対して貸付をおこなう場合、基本的には代表者や取締役などの連帯保証を取るため、法人から回収ができない場合、代表者個人などから回収をすることができます。
しかし、1人会社の場合や、家族経営の場合、法人であっても個人であっても代表者の財力がすべてとなるため、差はほとんどありません。

実際に、弊所顧問先様においても個人事業主であるにもかかわらず5,000万円以上借りている方もいれば、法人であっても300万円が限界と言われる方もいます。

まとめ

融資を受けるには、資金が必要となってからでは遅く、事前にかつ計画的に行動することが必要です。必要となることを予測し、計画して借りる準備をしておく、または借りておくことが重要となります。また、融資に強い税理士などの専門家に依頼・相談すると、自身で借入をするよりも多く借りることができる場合や、短い期間で借りることができる場合がありますので、専門家に相談することを検討することもおすすめします。

執筆者プロフィール:
冨川 和將(税理士)
起業・設立のサポートから財務体質の改善までを得意としており、融資のサポート、資金繰り計画のサポート、経営計画作成・運用のサポート、経営者のライフプランのサポートも積極的におこなっている。さらに相続税の申告や法人・個人の税務調査対応、税務訴訟における税理士補佐人としてサポートと幅広く経営者の参謀役として業務をおこなっている。

上記内容は、執筆者の見解であり、住信SBIネット銀行の見解を示しているものではございません。

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