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法人のお客さま 経営TIPS

起業・開業に利用できる助成金・補助金とは?種類や利用条件を解説

  • 公開日:2021年12月 6日

起業したり、開業したりする際には、何かとお金が必要になりますが、創業時にすべての必要資金を用意できない場合もあります。借入金で必要な資金をまかなうこともできますが、助成金や補助金を活用することで、返済の必要がない資金を手に入れることができます。補助金や助成金の仕組みを理解して、起業、開業に役立てていきましょう。

会社設立・起業における「助成金」とは?

助成金とは、主に厚生労働省が主導して、雇用の維持や企業の人材育成に関して支払われるものです。
たとえば、雇用関係助成金は、経営状況などの変化により事業活動を縮小しなければならないときに、雇用を維持するために、雇用調整(休業)を行う事業者に休業手当の一部を助成します。

助成金は要件を満たせば、通年で受付けてもらえます。各都道府県の労働局かハローワークに申請します。申請する助成金の要件を満たすように、休業や新規の雇入れを行った後に、申請を行い、承認がされると助成金を受取ることができます。

支払った給料の何%を助成してくれるか(助成率)や日額や月額または1回当たりの上限金額が定められていますので、申請する際にはよく確認しましょう。

助成金に返済義務はある?

助成金には、返済義務はありませんが、ウソの申請をして助成金を受取ることは不正受給となります。不正受給を行った場合には、助成金の一部または全部の返還を求められるほか、5年間は助成金を受給できなくなったり、最悪は詐欺罪として刑罰を受けたりすることがあります。

会社設立・起業における「補助金」とは?

補助金とは、主に経済産業省が主導して、国や地方自治体が掲げる政策目標に対して、事業者が取組みやすいように、費用を負担するというものです。
たとえば、IT導入補助金は、中小企業のIT化を推進するためにIT機器の導入に関して、費用が補助されるというものです。

補助金対象事業は年1回から数回の公募が行われ、それぞれの補助金事務局に申請を行います。募集時期が限られているので、応募機会を逃さないようにしましょう。

補助金対象事業として採択されると、事業の実施後に補助金が支払われる仕組みです。したがって一旦支払った費用について、後払いで支給を受ける形になります。また支出した金額の何%を補助してくれるか(補助率)や上限100万円などの補助金上限額が定められていますので、申請する際にはよく確認しましょう。

補助金に返済義務はある?

補助金には原則返済義務はありませんが、補助金を目的外に使用したり、事業をすぐに止めてしまったり、購入した資産を売却したりすると、返還を求められることがあります。

助成金と補助金の違いを比較

助成金と補助金について説明しましたが、よりわかりやすくするために、共通の部分と違う部分に分けて比較してみます。

助成金・補助金を申請する上での注意点

助成金や補助金は要件を満たせば、資金を受取れるメリットがありますが、税金などが投入される都合上、取組みが実際に行われたことの確認の手続きが必要となります。申請する際の注意点を見てみましょう。

後払いである(入金までに時間がかかる)

助成金も補助金も基本的には後払いです。賃金を支払ったり、設備を購入したりした後に申請して、審査を経て入金されるので、受取りまでに一定の時間がかかります。したがって助成金や補助金が得られるとしても、先に資金を確保しておくことが必要です。

事務処理が多くなるが、怠るとリスクあり

助成金や補助金を申請するためには、支払った資金の明細を作ったり、事業実施後の経営状況の報告をしたりと、さまざまな事務処理を行わなくてはなりません。間違った申請をしたり、期限までに報告ができなかったりすると、助成金や補助金がもらえなくなってしまう恐れがあるので、注意が必要です。

起業・開業に利用できる助成金

ここでは、起業・開業時に利用できる助成金について、例を挙げていきます。起業・開業時から利用できる助成金としては、主に雇用に関するものと、雇用の環境整備に関するものの2種類に分かれます。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、派遣労働者などの、いわゆる非正規雇用労働者を正社員にしたり、処遇改善をしたりした事業主を助成する制度です。非正規労働者の正社員化や処遇改善についてキャリアアップ計画を作成し、必要な就業規則などを改定し、6ヵ月間賃金を払うなどの要件があります。たとえば、有期雇用労働者を正社員に登用すると、1人当たり57万円(1年度1事業者当たり20名まで)が助成されます。

出典:厚生労働省|キャリアアップ助成金

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、労働者に専門的な知識や技能を身に付けさせるため、一定の職業訓練や教育訓練休暇制度などを実施した事業者に対して、訓練経費や給与の一部を助成する制度です。特定訓練コース、教育訓練休暇付与コースなど7つのコースがあり、特定訓練コースであれば、10時間以上の訓練に対して、1人1時間当たり760円まで、対象経費の45%までが助成されます。生産性の向上が認められると、さらに助成率がアップします。

出典:厚生労働省|人材開発支援助成金(特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コース)

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金とは、職業経験や知識の不足から就職することが難しいと思われる求職者に対して、ハローワークなどの紹介により、一定期間試行雇用した事業者に助成する制度です。原則3ヵ月のトライアル雇用期間の後、期間の定めのない雇用に移行した場合に、対象者1人当たり月額最大4万円が最長3ヵ月間助成されます。対象者が母子家庭の母などの場合には、月額は最大5万円となります。

出典:厚生労働省|トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金とは、高齢者や障害者、母子家庭の母などの就職困難者を、ハローワークなどの紹介により、雇用保険の一般被保険者として雇入れる事業主に対して支払われる助成金です。たとえば高齢者を要件が合致するように雇入れた場合、1年間2回にわたり合計60万円が支給されます。重度障害者などの場合には最大3年間240万円が助成となります。

出典:厚生労働省|特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

地域雇用開発助成金

地域雇用開発助成金とは、新規に雇用する企業が少ない地域において、事業主が事務所の設置などを行い、その地域において人を雇入れる場合、事務所の開設費用や労働者の給与などが増加数に応じて助成されます(1年ごとに最大3回支給)。創業時であれば、2人以上の雇入れ、かつ300万円以上の設置・整備費用の支出があれば、48万円の支給となり、その後、雇用維持をしていれば、翌年、翌々年にも同じ額を受取ることができます。

出典:厚生労働省|地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

両立支援等助成金

両立支援等助成金とは、出産、育児、介護などにより、労働者が離職することのないよう、休暇制度などを整備した企業に支払われます。この助成金は、都道府県の労働局に申請します。全部で5つのコースに分かれており、育児休業等支援コースでは、育児休業取得時と職場復帰時にそれぞれ28.5万円の支給があるほか、職場復帰後支援などでも助成を受けることができます。

出典:厚生労働省|両立支援等助成金

新事業開拓助成金

新事業開拓助成金は、従来なかった新製品や新サービスを開発したり、従来なかった革新的な方法で商品やサービスを提供することによって、新たな市場を切開いたりするベンチャー企業などの事業に対し、助成金を交付するものです。各都道府県の産業支援センターなどに申請します。新潟県ではベンチャー企業創出事業助成金と呼ぶなど、都道府県ごとで名称が異なっていますので、検索する際には確認しましょう。

ミドル起業家支援事業(起業を目指すミドル層の起業家向け助成金)

ミドル起業家支援事業は、起業を目指すミドル層に加え、就職氷河期世代で起業を目指す人を対象とした兵庫県の助成金制度です。補助率が2分の1で、上限が100万円から200万円となっています。各地方自治体で同様の制度がありますが、助成金としている自治体もあれば、補助金として出している自治体もあります。また補助率や上限金額もそれぞれ異なりますので、助成を受けたい場合には、よく確認をしましょう。

起業・開業に利用できる補助金

ここでは、起業・開業時に利用できる補助金について解説します。欧米などと比較して、日本の開業率が低いため、経済産業省や中小企業庁が中心となり、開業率向上を目指して補助金を出しているとともに、雇用の増加を目的に、地方自治体でも起業・開業向けの補助金を提供しています。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響で売上の減少している中小企業が、ポストコロナ時代への変化に対応するために新分野展開、事業転換などを図るための補助金を支給するものです。中小企業では通常枠と卒業枠、中堅企業では通常枠とグローバルV字回復枠の4つのコースが用意されています。中小企業が中堅企業に成長する卒業枠が採用されれば、補助率3分の2で最大1億円までが支給されます。

出典:中小企業庁|事業再構築補助金

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業、小規模事業者が業務効率化などを目指して導入するITツールの費用を補助するものです。また通常枠以外に、新型コロナウイルス感染リスクを下げるための非対面化への取組みについても、低感染リスク型ビジネス枠が設けられています。通常枠、低感染リスク型ビジネス枠ともに上限は450万円ですが、補助率は通常枠が2分の1までに対して、低感染リスク型ビジネス枠では3分の2までとなっています。

出典:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会|IT導入補助金

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいる小規模事業者などが、商工会議所の助言などを受けながら、販路開拓や生産性向上に対応した取組みを行った場合に支給される補助金です。補助率は3分の2で、上限は50万円となっています。設立や開業が1年以内の小規模事業者や市町村において特定創業支援などの支援を受けた小規模事業者については、上限が100万円までです。

出典:日本商工会議所|令和元年度補正予算 日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構と各都道府県の公共団体や金融機関などが共同出資で作った官民ファンドです。地域貢献性が高い新事業に取組む中小企業者などに対して、ファンドの運用益から資金の助成を行うものです。地域中小企業応援ファンドと農商工連携型地域中小企業応援ファンドの2種類があり、全国約30都道府県において組成されています。補助率や上限は、それぞれのファンドごとに異なります。

出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構|地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金とは、経済産業省系の補助金で、事業承継を契機とした経営体制の変更やM&Aによる経営資源の引継ぎを行う中小企業などをサポートするための補助金です。2つの類型があり、経営革新は設備投資や販路開拓などの費用を補助するもので、補助率が3分の2、上限が800万円となっています。一方、専門家活用はM&A支援業者に支払う手数料やデューデリジェンスにかかる専門家費用などが補助の対象で、補助率は3分の2、上限が400万円です。

出典:中小企業庁|財務サポート「事業承継」

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、中小企業や小規模事業者が行う革新的なサービス開発や試作品開発、生産プロセス改善のための設備投資資金などを補助するものです。一般型とグローバル展開型の2つの類型があり、一般型は上限が1,000万円、グローバル展開型は3,000万円です。補助率は2分の1から3分の2です。また低感染リスク型ビジネス枠が新たに設けられています。

出典:全国中小企業団体中央会|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

助成金・補助金を利用する主な手順

ここでは実際に補助金をどのように申込んだらよいかを解説します。募集期間の定められている補助金をベースに説明しますが、助成金については、事前審査から採択の部分がなくなり、事業実施から入って申請となるので、順番が少し変化します。

問い合わせ、書類取寄せ

該当する補助金の募集期間中に取扱いの窓口で申請書類をもらいます。特設サイトを開設している補助金もあるので、サイトから概要や申請書類をダウンロードすることもできます。

書類作成

申請書類に必要事項を記入します。また申請に必要な書類も準備しておきます。それから添付書類として必要な事業計画書などを作成します。事業計画書はそれぞれの補助金にマッチした方法で作成します。

申請、申込み

募集期間中に申請を行います。申請は、直接窓口に書類を持って行ってもいいですし、最近では、電子申請も受付けてもらえます。締切り日時が定められていますので、出し忘れのないようにしましょう。

事前審査、面談

申請が受理されると、まずは応募する資格があるかを外形的にチェックする資格審査が行われます。資格審査をパスした申請は、事業計画書などの内容をチェックする実質審査に移ります。補助金の種類によっては、面談が行われることもあります。審査期間はおよそ1ヵ月から2ヵ月です。

採択、事業の実施

審査結果は、書面で通知されるのが一般的です。審査に通ることを「補助金事業に採択される」といいます。採択されたら、申請したとおりに補助金対象事業を実施します。補助金対象事業を実施する際の設備投資費や人件費などは、必要に応じて記録を取っておきます。

報告書提出

補助金対象事業を実施したら、報告期限までに報告書と証拠書類をまとめて、補助金の事務局に提出します。報告書の内容確認は、数ヵ月を要します。書類に不備などがあると、その分確認が遅れますので、報告書や証拠書類は不備のないように提出しましょう。

交付

報告書の確認が終わり、補助金の目的に沿って正しく資金が使われていることがわかれば、補助金が交付されます。ただし交付された後も、状況報告が必要な補助金もありますので、忘れずに報告を行いましょう。報告を忘れると、補助金の返還を求められることもあります。

助成金・補助金を受けるコツ

助成金・補助金は数多くありますが、実際に審査を通過して助成金や補助金を受取るためには、いくつかのポイントがあります。ここでは、助成金・補助金を受取るためのコツを解説します。

助成金・補助金の目的にマッチした提案をする

助成金・補助金には、雇用の増加や設備投資資金の支援などそれぞれ目的が決められています。たとえば雇用に対する助成金でも、若者、高齢者、女性などのカテゴリーで制度が分かれていますので、実態に合わせて、適切な助成金に申請する必要があります。目的にマッチしていなければ、申請が不採択となる可能性もありますので、注意してください。

わかりやすい申請書を作成する

補助金は公募が行われますが、採用されるためには、自社の行う取組みが補助対象事業の目的にどれだけ合致しているかを申請書もしくは添付資料で説明する必要があります。ただし、説明する際に専門用語を多く用いたりすると、取組みの内容がわかりにくくなり、審査に通過しづらくなることがあります。申請書や添付資料では平易な言葉を使って、誰が読んでもわかる申請書、資料を作成するようにしましょう。

事業計画書を具体的に作成する

補助金に応募する際に、大きなポイントとなるのが事業計画書です。融資を受ける際にも事業計画書を提出しますが、根本は同じです。審査する側として、事業計画書に記載されている内容が実現可能かを判断していきます。したがって抽象的な表現よりも、より具体的な数値を用いて事業計画書を作成しましょう。

添付書類を工夫する

事業計画書の中では、自社の取組みが大部分を占めることになりますが、一方で世界の流れ、業界の動向、消費者の変化など、経済全体についても考察することが必要です。自分のアイデアが客観的に受入れられるかを第三者の調査などから分析することで、事業の成功の可能性を客観的に説明できれば、審査にも通りやすいといえます。

審査落ちしても、何度も申請する

要件を満たせば支給される助成金と異なり、補助金の場合には、何倍もしくは何十倍といった競争の後に採用されるかが決まります。一度採用されたもの以外は、次回以降の募集があれば、基本的に応募することができます。したがって、採用されるまで何度でも応募するのも、1つの手段といえます。ただし最初の応募で何が悪かったのか再考して、次回以降に応募する際には、工夫することを忘れないようにしましょう。

まとめ

さまざまな助成金や補助金があり、起業や開業時にも使えるものもいくつかあります。しかしながら税金などを投入するので、支払い要件は厳格に定められていて、支給も事後となります。したがって助成金や補助金をベースに起業や開業はできませんが、借入金のように返済義務がありませんので、上手に活用することで、スタート時の資金負担を軽減することができます。助成金や補助金の仕組みをよく理解して、賢く利用しましょう。

執筆者プロフィール:
青野 泰弘(ファイナンシャルプランナー・行政書士)
青野行政書士事務所 代表。大学卒業後、数社の証券会社で債券の引受けやデリバティブ商品の組成などに従事。2012年にFPおよび行政書士として独立。相続、遺言や海外投資などの分野に強みを持つ。お金の悩みはたくさんあるが、身近な人には相談しにくいもの。また金融の話には難しい言葉があり、敬遠する人も多いかもしれない。金融を分かりやすい言葉で多くの人に理解してもらえるように説明している。

上記内容は、執筆者の見解であり、住信SBIネット銀行の見解を示しているものではございません。

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