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法人のお客さま 経営TIPS

賃金台帳とは? 書き方、給与明細との違いなどを解説

  • 公開日:2021年12月 6日

不安定な経済情勢の中、各企業の社員はさまざまなストレスを抱えながら仕事をしています。経営者が自社で働く社員の不調や異変に素早く気づくには、管理体制づくりが急務といえるでしょう。中でも、労務管理において欠かせない書類が「賃金台帳」です。今回は、賃金台帳について順を追って解説していきます。

賃金台帳とは

賃金台帳とは、社員に支払う賃金(給与)の支払状況を記載する書類をいいます。
賃金の額などが載った給与明細と混同されることもありますが、賃金台帳と給与明細はまったく異なるものです。

賃金台帳と給与明細の違い

賃金台帳は、労働基準法で、作成や保存が義務づけられる「法定三帳簿」の1つです。したがって、法律で決められた項目をあますことなく記載し、決められた期間は社内で保存しなければなりません。

なお、法定三帳簿には、賃金台帳のほか、労働者の個人的な情報が記載された「労働者名簿」、労働者の勤怠情報が記載された「出勤簿」があります。

一方の給与明細は、会社が社員へ支払う賃金額や保険料などの控除額を一覧化した通知書のことで、会社が社員に対して配布する書類です。

賃金台帳が会社で保存をする書類であることに対し、給与明細は社員が給与額の内訳を確認するための書類である点が異なります。

賃金台帳の対象者

賃金台帳の対象者はその会社で働くすべての従業員です。会社は、正社員、契約社員、嘱託社員、パート・アルバイト、短期就労者、日雇い労働者など、雇用形態を問わずすべての社員の賃金について記載しなければなりません。また、経営に携わる役員も例外でなく作成が必要です。
ただし派遣社員については、派遣元の企業での作成となるため賃金台帳の対象外となります。

なお、賃金台帳の作成は事業所単位です。複数の事業所が存在する企業は事業所ごとに賃金台帳を作成しなければなりません。

賃金台帳に記載する項目

賃金台帳には、次のような項目の記載が義務づけられています。順を追って見ていきましょう。

賃金計算期間

賃金計算期間とは、賃金を計算する際に対象となる期間のことです。
たとえば、25日を締め日と設定している企業の5月分賃金台帳であれば、「4月26日から5月25日」と記載します。月末締めと設定している企業の6月分賃金台帳であれば、記載内容は「6月1日から6月30日」です。

労働日数と労働時間数

労働日数と労働時間数は、賃金計算期間内に社員が働いた日数と時間を記載する項目です。残業時間や休日出勤日時も含めた実数値を記載します。
たとえば、1日8時間、月に20日勤務として契約している正社員が休日出勤をした場合、労働日数は「20日+休日出勤日数」、労働時間数は「8時間×20日+休日労働時間」です。

時間外・深夜・休日労働時間数

残業時間や休日労働時間の詳細を記載する項目です。夜10時~朝5時までの間に残業したときは深夜残業としてカウントします。

時間外・深夜・休日労働時間数は、行政が企業の労務管理内容をチェックする際に最も重視する項目の1つです。労働基準法第36条に従い、労働基準監督局へ届出をおこなった上で残業させているか、割増賃金率に沿って残業代が支払われているか、などを確認するために必要とされます。

基本給と手当

社員へ支払う賃金の内訳を記載します。記載する内容は、基本給や通勤手当・役員手当などの各種手当、所定時間を超えて働いた時間に対する割増賃金など。基本的に支払われる額と加算される賃金額の詳細と合計額です。

控除金

控除金には、健康保険料、厚生年金保険料、社会保険料、所得税などの保険料・税金額や、減給処理時に控除した賃金額などを記載します。

賃金台帳の書式について

賃金台帳は作成を義務づけられているものの、台帳の書式に特定の決まりはありません。ただし、労働基準監督官による立入り調査(臨検)で、賃金台帳の閲覧や提出などを求められた場合などには即座に必要事項を明らかにし、写しを提出することができるような状況にしておく必要があります。
たとえば以下のような書式内容が挙げられます。下記例では、記載項目を縦並びで表記していますが横並び表記も可能です。

様式は、給与計算ソフトに付属しているものを利用したり、エクセルなどで自社独自のものを作ったり、さまざまな方法で作成できます。厚生労働省のホームページからも賃金台帳の基本様式を無料ダウンロードできますので活用してもよいでしょう。

出典:厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー」

賃金台帳の保存期間

賃金台帳の保存期間は3年です。社員に支払った給与に関する賃金台帳を記載した日から数えて3年保存します。ただし、賃金を支払った期日が記載日より遅い場合には、その支払期日から起算して3年ですので注意しましょう。

なお、2020年に法律の一部が改正となり、賃金台帳記録の保存期間は5年に延長されることが決まりましたが、当分の間は3年で据置かれています。

賃金台帳を作成しないとどうなるか

賃金台帳は作成と保存が労働基準法により義務づけられた書類です。したがって、賃金台帳を規定どおり作成しなかった場合や保存期間を守らず破棄してしまった場合は、法律違反で罰則が科せられる可能性があります。具体的な罰則の内容は、労働基準監督署による調査での是正勧告、30万円以下の罰金刑などです。

まとめ

賃金台帳は、法律で作成が義務づけられているだけでなく、社員にどのような形で賃金を支払ったかが把握できる労務管理には欠かせないツールです。適正な形で賃金台帳の記載や保存をおこない、社員が安心して働くことのできる労務管理を心がけましょう。

執筆者プロフィール:
加藤 知美(社会保険労務士)
愛知県社会保険労務士会所属。総合商社、会計事務所、社労士事務所の勤務経験を経て、2014年に「エスプリーメ社労士事務所」を設立。総合商社時では秘書・経理・総務が一体化した管理部署で指揮を執り、人事部と連携した数々の社員面接にも同席。会計事務所、社労士事務所勤務では顧問先の労務管理に加えセミナー講師としても活動。

上記内容は、執筆者の見解であり、住信SBIネット銀行の見解を示しているものではございません。

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