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資金繰り表とは何か?必要な理由と作成方法を解説

  • 公開日:2021年12月 6日

会社を経営していて頭を悩ますことの1つに資金繰りがあります。資金繰りの悪化は、会社の売上が上がっているときにも、下がっているときにも発生します。毎日、会計帳簿を記帳し、毎月試算表を作成していても、資金繰りの悩みはなかなか解消できません。この資金繰りの悩みを解消するために作成するのが、資金繰り表です。ここでは、資金繰り表を作成するメリットと作成方法を説明します。

資金繰り表とは?なぜ必要なのか?

資金繰り表は、会社を運営していく上で重要な書類です。

しかし、決算のときに作成する財務諸表の中には含まれません。貸借対照表は決算日時点の財務状況をまとめた表であり、損益計算書は期首から期末までの収益などをまとめた経営成績を記載する書類です。キャッシュフロー計算書などを含めても、財務諸表は決算日までの経営状況を会社の利害関係者へ知らせることが目的になっている、言わば内容は過去のものです。

これに対して、資金繰り表は社内で資金繰りを知ることを目的とした書類で、現金や預金の将来の残高を見通すための書類です。資金繰り表は日頃の会計帳簿とは別に、作成したほうがいい書類です。

資金繰り表を作成するメリット

資金繰り表を作成する主なメリットは4つあります。

資金不足になるかどうかを見極める

資金繰り表を作成することで、将来の資金の状況を予測して、資金不足に陥らないかどうかを見極め、資金不足になる前に対策を打つことができます。黒字倒産という言葉がありますが、売上が急激に伸びたために、仕入資金が増えていき、仕入支払と売上代金の回収のタイムラグによって発生するのが黒字倒産です。資金繰り表をつけていくことで、黒字倒産を回避することができます。

たとえば、1月1日に1億円の売上発注があり、このために3,000万円の仕入が必要だとします。仕入の支払は2月末で、売上代金の回収は7月末満期の手形で受取る場合には、2月末から7月末までの間に3,000万円の資金が足りなくなります。
この場合、資金繰り表をつける習慣があれば、仕事を受ける前に資金不足を予測することが可能になり、銀行へ短期融資の申込みをしたり、受取手形の割引が可能かどうかの確認をしたりできます。そうした対策が叶わない場合には、仕事自体を受けないという判断も可能になります。

起業時に経営可能な事業内容か確認できる

会社をスタートするときに、想定している事業・営業内容で経営が可能かどうかの判断に使えます。毎月どのくらいの経費がかかり、その経費をまかなうために、どのくらいの売上がいつまでに必要なのかを予測することができたり、当初の販売価格の設定が適正かどうかの判断をしたりすることも可能です。この資金繰り表は、創業資金の融資の申込みに使用することもできます。

設備投資や賞与を考える助けになる

資金繰り表を常に記帳して資金の動きを管理していくことで、余剰資金を把握することができます。そうすることで、どのタイミングでどのくらいの設備投資ができるか、賞与をいくら支給できるかを決める助けになります。

無駄遣いに気づける

細かく資金繰り表をつけることで、試算表では埋もれてしまうような費用の無駄遣いに気がつくことができるようになります。この場合、月合計の資金繰り表ではなく、日ごとの資金繰り表を作成することが必要です。

損益計算書の中の小さな経費は、金額の大きな売上や給与、家賃などに割合的に埋もれてしまいがちです。しかし、小さな経費も年間で合計すると、1人分の年間賞与の額をまかなえてしまうこともありますので、資金繰り表を用いて無駄のない費用管理をしていきましょう。

資金繰り表の作り方

資金繰り表は、まず資金繰りをしている人がわかるものにすることが重要なので、その人がわかりやすいフォーマットを自分で作るのが最も大切です。月単位でも、日単位でも、10日ごとでも構いません。ただし、融資を受ける際の説明資料として使うことも念頭に、説明可能なフォーマットで作成することをおすすめします。

日単位の資金繰り表をExcelで作成する場合には、1ヵ月を1枚のシートに配列にすると、細かい項目を入れていくことができないため、たとえば3日で1シート、1ヵ月分で1つのファイルデータにして作成すれば、より細かい資金繰り表の作成が可能です。この構成の場合には、完了した入出金は削除して、預金残高も日々更新していくことで、何日以内にいくら必要かを把握することができ、その月の資金不足が解消できたタイミングもわかります。
ただし、この方法ではデータを削除していってしまうので、あとから見直しをすることができません。

資金繰り表に必要な項目・作成方法

今回はよりわかりやすくするために、一般的な堅苦しいフォーマット例ではなく、本当に必要な区分けの例で説明します。

前月の資金繰越

現金と普通預金や当座預金の合計額を入力します。

予定収入

その月に予定されている収入を入力します。

予定支出

その月に予定されている経費などの支出を入力します。

資金不足を補う収入

万が一、「差引き過不足」がマイナスになった場合、そのマイナスを補える収入があればここに記載します。

運転資金外可能支出(余剰金)

「資金不足を補う収入」とは反対に、毎月安定して残高が増えている場合には、投資や運用にまわす内容を記載して、これ以降の資金繰り残高から外します。

今月の資金繰越

前月繰越に収入を加算して、支出を減算した金額を入れます。この金額をそのまま翌月の「前月の資金繰越」へ転記します。

資金繰り表を作成するポイント

1月から3月の資金繰り表を例にあげました。この資金繰り表は前年の12月の売上や仕入の状況がわかったころか、1月中に作成します。現金売上や支払で確定していないものは、おおよその金額を記載します。おおよその金額は、入金は少なめの金額で、支出は多めの金額を記載しましょう。たとえば、毎月約10万円の売上があるものの、作成時にはまだ8万円が確定しているのみの場合は、8万円で記入します。資金不足や余剰資金を把握するための書類なので、状況は少し厳しめにしておいたほうがよいです。

資金繰り表の見方

先の資金繰り表の場合、2月に53だけ資金が足りなくなっています。この足りない分を、資金繰り表を参考に解消できる方法を模索します。3月にはプラスになっているので、短期的に資金の融資を受けられれば、このマイナスは乗越えられます。役員からの借入が可能であれば簡単ですが、難しい場合には、この資金繰り表で銀行へ状況を説明し、短期の融資の申込みをしましょう。売掛金の回収を早めることや、買掛金の支払を遅らせることが可能であれば検討します。2月分の経費で購入をやめられるものや、固定資産の売却などで一時的に資金の余裕を生み出せるものがないかも確認しましょう。

上記の表では、役員から借入をして資金不足を解決しました。しかし、1月に2月の資金不足を予測し、車両の購入や借入の臨時返済をしなければ、2月は資金不足にならなかったはずです。資金繰り表は、このようなケースで有効になります。

まとめ

資金繰り表の項目や区分にこだわる必要はなく、資金不足になるのか、明らかな余剰資金はいくらあるかなど、目的別に自分なりに把握のしやすいフォーマットを作成することが大切です。項目名は初めて使う難しい言葉を使う必要もありません。最初は税理士などのお金の専門家から作成方法やポイントを教えてもらい、あとは自分で作成するようにしていくとよいでしょう。

執筆者プロフィール:
須栗 一浩(税理士)
税理士法人エムエスオフィス 代表。1995年に税理士登録し、これまで個人法人の関与先クライアントは500件をこえる。個人事業の開業から、法人設立、会社運営、相続税まで含めたトータルのコンサルタント業務をおこなう。企業のICT化も推進し、クライアント企業への導入も積極的に進めている。

上記内容は、執筆者の見解であり、住信SBIネット銀行の見解を示しているものではございません。

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