NEOBANK 住信SBIネット銀行
ログアウト
メニュー

法人のお客さま 経営TIPS

いまさら聞けない「決算書」の目的とは?種類と各見方を解説

  • 公開日:2021年12月16日

決算書は、会社の経営状況を管理する上で重要なものです。決算書と聞くと難しいイメージもあるでしょうが、決算書には大まかな区分がいくつかあり、その区分をつかめれば難しくはありません。ここでは、決算書の目的や種類、見方まで解説します。

決算書とは

決算書とは、会社の経営状態の結果を「お金」という単位で、項目ごとに集計した言わば会社の成績表です。会社の利益と損失、財務状態がどうであるかを報告・説明するための書類です。また、一般的に「決算書」と呼ばれる書類は、正確な名称ではなく通称です。

決算書の目的

決算書の目的は大きく次の3つがあります。

外部関係者へ向けて会社の経営状態を報告するため

決算書は、株式会社であれば出資者である株主、仕入先、借入先の金融機関などの外部関係者に会社の状況を説明するための役割を果たします。

多くの会社では1年に1度株主総会を開催して、利益や配当を含む経営状況を株主に対して報告しますが、その際の資料の1つとして決算書が使われます。
決算書は、安全な信用取引ができるかどうかの判断材料として使われる役割もあります。銀行などの金融機関から融資を受ける際には、決算書の提出を求められるケースがほとんどであり、その内容を金融機関が審査して、融資の可否を決めます。取引相手の場合も、その会社と取引を開始しても問題ないのかを判断する際に決算書から信用調査をおこなうのです。

内部資料として経営改善に役立てるため

会社の財務状態や経営成績を示す決算書は、自社の現状を数値として把握できます。決算書の見方を身につけられれば自社の状況を理解することが可能になり、また問題点や課題点の把握など経営分析に役立ちます。

確定申告で必要となるため

会社は法人税を確定申告しなければなりません。確定申告の期限は、その事業年度が終わってから原則2ヵ月以内と定められています。たとえば、事業年度が4月1日から3月31日までの会社は、3月31日から2ヵ月以内の5月31日までに法人税を確定申告して納税しなければなりません。確定申告の際には、決算書、内訳書、法人税の申告書を税務署に提出します。決算書は税務署に提出する場合は、決算報告書と呼びます。

決算書の種類

決算書は先述のとおり通称で、用途によってさまざまな種類があります。

会社法に基づくもの

決算報告書の計算書類は、日々の帳簿記録を集計して作成します。そのほかに、「個別注記表」「附属明細書」「事業報告書」などがあります。
上場企業になると、決算内容の要点をまとめた「決算短信」の作成が必要になります。投資をおこなう際の判断材料となる「有価証券報告書」は、決算後3ヵ月以上経ってからでないと発表されません。そこで、投資家にできるだけ早く決算結果を知らせるために決算短信の作成を証券取引案内所が各上場企業に作成を要請し、決算後1~2ヵ月で発表されます。

法人税法に基づくもの

税務署へ提出する際には、「法人税申告書」と「勘定科目内訳明細書」、決算報告書である「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」をセットにして提出します。また、提出義務はありませんが、多くの会社が通例で「個別注記表」も添付しています。地方自治体への提出書類は、該当する税金の申告書のみです。これらの書類は、原則として決算日の2ヵ月以内に申告する義務があります。

金融商品取引法に基づくもの

金融商品取引法では、上場している会社や株主が一定数以上いる会社などは、有価証券報告書の提出が義務付けられています。有価証券報告書は、前述の2つの決算報告書よりも企業情報の開示の側面が強い決算書です。企業内部の情報を容易に取得できない投資家に向けて、投資の判断材料としてもらいます。

決算書の見方

決算書のなかでも重要な書類として「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」を「財務三表」と呼びます。財務三表からは、会社の財務状態や経営成績などの情報が確認できます。「貸借対照表」は「B/S(ビーエス)」(Balance Sheetの略)、「計算書」は「P/L(ピーエル)」(Profit and Loss Statementの略)、「キャッシュ・フロー計算書」は「C/S(シーエス)」と呼ばれています。

貸借対照表(B/S)とは

貸借対照表とは、調達した資本をどんな財産に運用したのかを表す決算書で、大きく3つのグループに分けることができます。1つ目は、預金、現金、土地などのさまざまな財産である「資産」グループ、2つ目は借入金など会社が負っている「負債」グループ、3つ目は株主の出資金とこれまで会社が得た儲けなどの「純資産」グループです。
表の左側(借方)に「資産」、右側(貸方)に「負債」と「純資産」を表示すると決まっており、左側(借方)と右側(貸方)の金額の金額は必ず一致するので、
資産=負債+純資産
となります。

借方(資産=調達したお金の運用方法)と貸方(負債と純資産=お金の調達方法)でバランスが取れるので、英語で「バランスシート」と呼ばれるわけです。
貸借対照表を見るときのポイントは、資産・負債・純資産の金額のバランスが健全か問題かを見ることです。

損益計算書(P/L)とは

損益計算書では、会社の1年間を通して収益と費用がどれくらいあり、結果的に、利益あるいは損失がいくらだったのかを表します。
これを式にすると「収益-費用=利益(マイナスの場合は損失)」となります。
この式から算出された5つの利益の内容を理解することが大事なポイントです。

売上総利益:売上高売上原価
通称「粗利」。本業での利益から利益を得るために直接使った材料や外注費などの費用を差し引いた利益。

営業利益:売上総利益販売費及び一般管理費(経費)
本業で儲けた利益。

経常利益:営業利益営業外収益営業外費用
営業外収益と営業外費用は、本業とは直接関係はないものの会社経営の上で毎年発生する「経常的な収益や費用」です。つまり経常利益は、「会社が通常の活動でどのくらい儲けることができたか」をあらわす重要な数字です。

税引前当期純利益:経常利益特別利益特別損失
特別利益と特別損失は、例外的、臨時な事柄が原因で発生して利益や損失です。

当期純利益:税引前当期純利法人税・住民税および事業税±法人税等調整額
最終的な利益。

損益計算書の作成により、1年間の会社の経営成績を正確に理解することができます。また、その年だけのものではなく、過去を含めた複数年のものと見比べることによって会社がどれだけ収益力を伸ばしているかを知ることができます。

キャッシュ・フロー計算書(C/F)とは

キャッシュ・フロー計算書とは、会社の一定の会計期間におけるお金の流れ、会社のお金の増減やその要因を把握するための決算書です。会社は、日常的に売掛金・買掛金での取引をしています。そして、商品やサービスの提供とその代金回収には時間差が生じます。損益計算書には利益が計上され黒字なのに、実際の代金回収が数ヵ月先という入金のズレによって、仕入代金や経費が払えない、つまり資金繰りがつかなくなって倒産することがあります(黒字倒産)。資金不足や黒字倒産のようなリスクを防ぐために生まれたのが、キャッシュ・フロー計算書です。

キャッシュ・フロー計算書は上場企業のみにその提出が義務付けられていますが、上場企業でなくともお金の流れを把握しておくことが大切です。

キャッシュ・フロー計算書もまた3つのグループに分かれています。

  1. 営業キャッシュ・フロー
    会社が本業によってどれだけお金を獲得することができたかを表し、合計額が多ければ多いほど、株主へ多くの配当金を渡すことが可能になり、投資をおこなうことができます。営業キャッシュ・フローは、多ければ多いほどよいです。
  2. 投資キャッシュ・フロー
    投資活動に関するお金の出入りを表し、会社は常に将来の利益を得るために投資活動を続けるのでマイナスになるのが一般的です。
  3. 財務キャッシュ・フロー
    資金調達や返済によって生じるお金の流れを表します。マイナスの場合は一般的に借入金などの返済が進んでいることを表し、プラスの場合は一般的に借入金などが増えていることを表しています。
    しかし、マイナスがよくてプラスが悪いとは一概に言えません。営業キャッシュ・フローと財務キャッシュ・フローと総合的に判断することが必要です。

株主資本等変動計算書とは

株主資本等変動計算書とは、会社の一定の会計期間において貸借対照表の純資産のうち「株主のもの」に相当する株主資本の変動の様子を一覧にしたもので、すべての会社に作成する義務があります。2006年の新会社法施行により、株主総会や取締役会で決定されれば余剰金をいつでも配当できるようになったことで株主資本の計数を変動させることが可能になりました。貸借対照表や損益計算書だけでは、これらの変動が分かりにくいことから株主資本等変動計算書が作られました。

決算書作成の流れ

ここでは決算書を作成する流れを見ていきましょう。

今年度の取引を記帳

まずは、入出金伝票、振替伝票、通帳、領収書、請求書などを元に帳簿に記帳し完了させます。前年の決算資料を用意しておけば、決算書作成の際に参考になります。

資産・負債の数量と金額を確認

今年度の記帳が完了したら改めて資産、負債の帳簿上に記載がある数量と金額が実際のものと合っているか確認をします。確認する項目には、現金、銀行口座などの残高、売掛金・買掛金の残高、借入金の残高、貸付金、受取手形・支払手形、固定資産、在庫の数量などがあります。

決算残高を確定

確認が終わったら減価償却費や期末棚卸、未払金や前払金などの決算整理仕訳をおこないます。貸倒れが懸念される債権はないかの確認と貸倒引当金の入力も大事な作業になります。決算整理仕訳の入力が終わったら、最後に現金や通帳残高と入力データの残高が同じ金額あることを再確認して、決算残高を確定します。

損益計算書、貸借対照表などを作成

決算の残高の確定は、これ以上新たな取引は発生しないことを意味し、損益計算書や貸借対照表などを作成します。現在では、日々の伝票入力をおこなっていれば、会計ソフトが損益計算書、貸借対照表などを自動的に作成できるようになっていることが多いです。

まとめ

決算時に作成が必要な書類は多く作業も複雑なので、税理士に丸投げという経営者の方も多いでしょう。決算書のすべてを理解することは難しいかもしれませんが、会社の強みや弱みを理解して経営計画を立てていくためには、決算書の目的や見方を覚えておくことが重要です。

執筆者プロフィール:
戸越 裕介(税理士)
船橋生まれ、関西育ち、静岡在住。静岡にて税理士事務所、コンサルティング会社、投資会社などの複数の企業の代表を務める。「難しいことを、日本一わかりやすく」するために、日々研究中。全国の中小企業にITを活用して業務効率化をおこない、経営を進化させる。得意分野は、建設、不動産、太陽光など。節税、補助金、コストダウン、経理自動化など「今すぐ経営に効果が出る」サポートを実践している。オタク気質で、気になることはとことん没頭しすぎることが欠点。

上記内容は、執筆者の見解であり、住信SBIネット銀行の見解を示しているものではございません。

ネット銀行ならではのコストと利便性

住信SBIネット銀行の法人口座なら
メリットいろいろ

  • 手数料が安い
  • オンラインで口座開設
  • 最短翌営業日に取引可能
免許証とスマホだけ!
法人のお客さまメニュー