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会計とは何?会計士が基礎をわかりやすく解説

  • 公開日:2021年12月16日

会計と一言に言っても財務会計・管理会計・経理・財務・仕訳・簿記とさまざまな用語があり、困惑してしまう方も多いでしょう。ここでは会計の役割や用語の違い、会計が実務でどのように使用されているのかを解説します。

会計の役割

会計という言葉を耳にしたとき、請求書などをコツコツ記録する・難しそう・簿記の知識がないとできないなど、さまざまなイメージが思い浮かびますが、その中に共通するイメージは「記録すること」ではないでしょうか。会計とは「取引を記録すること」、そのように考えている方は多いです。

しかし、会計の本質は単に取引を記録することではありません。もちろん記録も非常に重要なことですが、会社の「利益と財産を見せる」ことが会計の重要な役割です。

そもそも会計の語源は「計は会なり」という言葉で、計は明確に話す・真実を正しく言うこと、会は増加することを表します。増加した事実を明確に伝えることが、会計の最初の意味なのです。英語でも同様で、会計は英語で「accounting」(アカウンティング)といい、元になる「account」(アカウント)には「説明」「報告」の意味があります。また、説明責任を果たすことを「accountability」(アカウンタビリティ)と言い、カタカナの「アカウンタビリティ」という表現で、よく実務で使われています。

会計の本質は記録ではなく、記録した結果を「見せる」ことにあります。その報告先が外部向けであれば「財務会計」、内部向けであれば「管理会計」と呼ばれます。

財務会計とは

通常「会計」といえば財務会計を表します。株主や金融機関といった外部の利害関係者に「利益と財産を見せる」ことが財務会計です。ここでは、会計の本質を「服飾店のオーナー」の立場という例でみていきましょう。

会社の「利益」

洋服を3,000円で購入し、4,000円で売ると1,000円の利益です。服飾店のオーナーは、これらの取引の積み重ねである利益がいくらになるのか、とても気になります。利益を確認するスパンは1日・1ヵ月・1年といった一定の期間の積み重ねですが、財務会計では「1年」で区切ることがほとんどです。
種類も値段も違うさまざまな洋服が売れている取引を正確に把握することはもちろん、店舗の家賃や、商品棚・レジ設置の出費、店員に支払う給与などを考慮に入れる必要があります。
服飾店のオーナーは洋服の仕入だけでなく、そのほか多くの努力をしています。その結果、洋服の販売という成果につながります。さまざまな種類の費用(=努力)と、努力に見合った収入の差引が「利益」です。会計によって、いくらの利益を得たのかを確認することができるのです。

会社の「財産」

仕入れた洋服は、すぐに売れるわけではなく、売れるまでに数週間はかかるかもしれません。そのためオーナーは残っている在庫量(=財産)を把握し、なくなりそうであれば補充を、余っているのであれば販売努力をしなければなりません。また、店舗運営のために購入した商品棚やレジも、「財産」に該当します。
利益は「1年間の利益」のように、あくまで一定期間の実績ですが、財産は会社が設立してからこれまでの積み重ねです。会社の状況は一定期間の利益に加えて、どの程度の財産をもっているかで確認することができます。

「利益と財産を見せる」が必要な理由

「利益」と「財産」を知りたい人は誰でしょうか。もちろん経営者であるオーナー自身も知りたいですが、会社に関係する第三者でも知りたい人はたくさんいます。会社にお金を出す株主や金融機関が最たる例です。
たとえば、服飾店の2号店をオープンすることにしたとします。新規オープンには初期費用が必要になりますが、新しい場所に服飾店を建てたいと考えても、これまでの利益の積み重ねだけでは足りません。そこでオーナーは銀行からお金を借りて、2号店を立ち上げようとします。

銀行側からすれば新たにお金を貸す際、貸したお金がしっかり返ってくるかを見極めたいです。そのときに、財務会計によって「利益」と「財産」が分かれば、どの程度返ってくるのかの予測もつくため、銀行はお金を貸すことに前向きになれます。
利益と財産を「見せる」ことで、銀行は新たな投資ができ、オーナーも2号店をオープンできるのです。「利益と財産を見せる」ことは、経営者と第三者お互いにとって良い方向に物事が動くようになります。

このように、利益と財産を第三者に見せることが、財務会計の重要な役割です。

管理会計とは

管理会計は報告先が内部となる会計です。経営者の方は「将来どのように売上を伸ばしていくか」「この商品は大体○円から○円の間で仕入れることができる」といった情報をもっていて、それを肌感覚で経営に活かしています。
この肌感覚を数値に落とし込み、自社の経営に活かすために「管理会計」があります。財務会計は外部向けに「見せる」ため、より大きくざっくりとした単位で純然たる結果だけを報告します。それに対して管理会計は、より細かくしっかりとした単位で、これまでの結果をもとに将来に活かす情報を作りこみます。

このように作りこんだ資料は例えば「事業計画書」「中期経営計画」「取締役会資料」として使用されます。その中でも「将来どのように売上を伸ばしていくか」は予算管理として、「この商品は大体○円から○円の間で仕入れることができる」情報は原価管理として使用していくことになります。

財務・経理と会計の違いは?

会計と似た言葉として、「財務」や「経理」が挙げられます。大きい会社では「財務部」「経理部」と部門が分かれていますが、この違いは何でしょうか。ここでは経理・財務の内容について見ていきましょう。

経理とは

経理は請求書・入出金・帳簿記帳・伝票作成といった日常業務から、経営にかかわる資料作成まで、お金に関すること全般をまとめて経理と言います。
そのため、経理はここまで見てきた「会計」と密接に結びついています。会計は財務会計や管理会計を含む幅広い概念ですが、それを会社が実際におこなう業務に落とし込んだ言葉が「経理」です。会計の一部業務が「経理」であると言えるでしょう。

経理のイメージと言えば、伝票作成のような日常業務を思い浮かべる方も多いでしょう。日常業務も決しておろそかにはできない経理の重要業務ですが、経理の重要なポイントは「経営にかかわること」にあります。
そもそも経理とは「経営管理」の略であると言われています。経営資源であるヒト・モノ・カネを効果的・効率的に活用するための情報を提供できることが、経理の重要な役割です。

財務とは

財務は経理の成果物である財務諸表(損益計算書や貸借対照表など)を基礎として資金計画を立案し、資金を調達・運用することを示します。

企業運営には何かとお金がかかります。物を仕入れて(仕入)、従業員が働いて(給与)、必要な固定資産を購入して(投資)、ようやく売上が上がります。どれだけ黒字の企業でも、先行してお金が出ていくことになります。そのため資金繰りは非常に重要で、経営理念を実現するためには安定した資金調達・運用の側面が欠かせません。

経理は日常の取引を記帳しそれを成果として報告することに主眼が置かれますので、「会社が置かれている状況を把握」することが中心となります。それに対して財務は、把握した状況をもとに、経営理念を実現するには「どのように資金を調達すべきか」という具体的な行動が中心となるのです。

会計処理は具体的に何をするのか?

会計は「複式簿記」という世界共通のルールで成立っており、一つひとつの取引を記入することを「仕訳」といいます。

会計は経済における英語のようなもので、仕訳は英単語や文法に該当します。英語であれば、まず英単語や文法を覚え、その後英会話や長文読解に移りますが、会計も同様でまず仕訳があり、仕訳の総まとめとして決算書を作成することになります。

日常取引を複式簿記に記入する「仕訳」

日常における一つひとつの取引を記入することが仕訳です。例として、「4月1日に、水道光熱費10,000円を口座引落としで支払った」場合を考えてみましょう。

最もイメージしやすいのは家計簿やお小遣い帳です。家計簿には以下のように記載されます。
4/1 水道光熱費 10,000円

家計簿に記載されるのは「水道光熱費10,000円を支払った」という点です。家庭の管理であればこれで十分ですが、会社の管理となるともう一手間ほしいところ。この水道光熱費は現金で支払ったのか、預金で支払ったのか、掛取引としたのか、物々交換で支払ったのか、そういった支払に関する情報がほしいです。

支払いに関する情報がないと、会社の預金残高が変な内容に使われていないかどうかも確認できません。家庭であればなんとなく把握できることでも、多くの人が在籍しさまざまな用途で資金が動く会社では把握することが難しくなります。

ここで、仕訳が登場します。1つの取引を「水道光熱費10,000円を支払った」「預金口座が10,000円減少した」という2つの側面(原因と結果)に分解します。水道光熱費を支払った結果どうなったかにまで踏み込むこと、それが仕訳です。

具体的には以下のように記載します。

水道光熱費

10,000 預金 10,000

左側に「水道光熱費10,000円」を記載することで、費用の発生を表現します。一方右側に「預金10,000円」を記載することで、預金の減少を表現します。

このように、左側・右側の2箇所を用いて、日常の取引を一つひとつ仕訳の形に落とし込んでいくのです。

会計処理をするタイミングは3つ

仕訳には、「毎日」おこなう定例的な仕訳から、「毎月」や「年単位」でおこなう仕訳があります。
「毎日」おこなう仕訳としては、日常的な経費や請求書、領収書の処理や現預金の管理などがあります。上述の例も水道光熱費という日常的な経費処理の仕訳です。仕訳として一番イメージがしやすいのが、これら日々の処理ではないでしょうか。

「毎月」おこなう仕訳としては、請求書の発行や売上・仕入、売掛金・買掛金、給与などの管理があります。
「年単位」でおこなう仕訳は「決算」に使用する特殊な仕訳です。固定資産の減価償却・棚卸資産の計上といった、馴染みは薄いものの正確な利益を計算するのに欠かせない仕訳を計上します。これらの仕訳を経て、財務諸表が作成されます。
なお、仕訳伝票には領収書や請求書のように根拠となる証憑が必要になりますので、しっかりと管理する必要があります。

企業会計原則

会計のルールブックの1つとして「企業会計原則」が挙げられます。日本では企業会計原則を中心に、さまざまな会計基準や実務指針があり、会計処理の内容を形作っています。
企業会計原則は一般原則・損益計算書原則・貸借対照表原則の3部構成となっており、その中でも一般原則が最も基本的で重要となる原則です。

一般原則は以下7つの原則から構成されています。

非常に当たり前のことばかりですが、反面とても重要なことが規定されているのが分かります。

決算書の作成

日常の取引を仕訳の形に落とし込んだ積み重ねとして、決算書が作成されます。
決算書は大きく「損益計算書」と「貸借対照表」があります。

損益計算書(そんえきけいさんしょ)

会社の「利益」を見せるのが損益計算書です。英語では「Profit and Loss Statement」と言うため、頭文字を取ってP/L(ピーエル)と表現することが多いです。

<損益計算書のイメージ図>

収益から費用を差し引くと利益になります。シンプルで、分かりやすい表です。

貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)

会社の「財産」を見せるのが貸借対照表です。英語では「Balance Sheet」と言うため、頭文字を取ってB/S(ビーエス)と表現することが多いです。

<貸借対照表のイメージ図>

左側に「資産」を、右側に「負債」「純資産」を書きます。こちらはP/Lと違い若干分かりにくい表なので、服飾店の例を用いてみてみましょう。服飾店の2号店オープンに際して、銀行からお金を借りて、店舗(建物)を建てました。貸借対照表に表すと以下のとおりです。

建物は「資産」に該当するので左側に、銀行からの借入金は「負債」に該当するので右側に書きます。1つの取引を2つに分けて考える仕訳を忠実に示した表と言えます。

一見すると記載が左右で分かれて分かりにくいように感じますが、借りたお金を右側、どう使ったのかを左側に書くという構造のため、お金の流れが一目で分かるのが貸借対照表の特徴です。

まとめ

会計はただ記帳するだけではなく、会社が思い描く未来の実現に向けて土台を作り、力強くサポートしてくれる欠かせない存在でもあります。盤石な経営体制となるよう、会計をうまく活かしていきましょう。

執筆者プロフィール:
清水 寛司(公認会計士・税理士)
株式会社アカウンセル 代表取締役/アカウンセル税会計事務所 代表。
税務顧問・M&A・会計税務サービスを中心に事業展開。本業を強力に後押しする会計税務の可能性を感じ、顧客の希望に応じた会計・税務関連サービスを提供している。経理財務や営業向け研修、専門誌への寄稿等も数多く行っており、難解な会計税務を分かりやすく伝える技術に定評がある。埼玉県さいたま市出身。慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院商学研究科修了。

上記内容は、執筆者の見解であり、住信SBIネット銀行の見解を示しているものではございません。

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