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法人のお客さま 経営TIPS

決算期はいつにすべき?あとから変更可能?税理士がわかりやすく解説

  • 公開日:2021年12月16日

会社を設立する際に必ず決めなければならないものの1つが事業年度であり、決算期です。しかし、そもそも事業年度や決算期と聞いてもピンとこない方も多いでしょう。ここでは決算期や事業年度の基礎から、決算期の決め方、決算期が変更できるかなどを解説します。

決算期とは

決算期とは決算日と同じ意味で、会社は任意に区切った期間で決算をおこなわなければなりません。その任意に区切った期間の最終日を決算期または決算日といいます。本記事では「決算期」とします。

また、この任意に区切った期間のことを、会社法においては事業年度、法人税法においては計算期間と呼びます。どちらの呼び方をしても同じことですが、ここでは定款にも用いられる名称である「事業年度」とします。

それぞれの会社が任意に区切った期間を事業年度としますが、事業年度はどんな期間でもいいのでしょうか?

事業年度は会社法、法人税法ともに最長期間を定めています。会社法においては原則1年を超えることはできないとしていながらも、事業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の事業年度は1年6ヵ月とすることができます。一方、法人税法においてはどんな場合においても1年を超えることはできません。そのため実務上においては事業年度を1年間としている企業が大半を占めます。

決算期はいつがよいのか?

法人における決算期の決め方は、その法人の任意です。つまり好きな日を決算期とすることができます。たとえば会社を設立してからちょうど1年後でもいいですし、創立者の誕生日でもいいですし、極端にいえば設立日の翌日でもいいのです。

では、決算期はいつにしたほうがいいのでしょうか。実は決算期をうまく設定することにより、いろいろな場面におけるメリットが生まれます。どのようなメリットを享受したいのかなど検討して決算期をうまく決めましょう。

決算期は3月、9月、12月が多い?

日本の企業は3月決算が一番多く、全体の約18%、次いで9月の約11%、次が12月の10%となっています。
出典:国税庁|第145回 令和元年版 国税庁統計年報

3月が最も多い理由にはさまざまな説がありますが、「公的機関にあわせている」「教育機関にあわせている」「法改正にあわせている」などがいわれています。

なお、事業年度を自由に選択できるのは法人だけであり、個人事業主については必ず、1月~12月までの1年間が事業年度とされます。

設立月に合わせて決算期を決める

会社を設立した際の決算期を決める方法としてオーソドックスな期間は、会社設立月からちょうど1年後の月末とするケースです。これは以前、一定の要件を満たした場合に消費税の免税期間を2年とることができることや、すぐに決算を迎えることにより決算にかかる労力や費用をなるべく先延ばしにできること、特に決算期にこだわりがない場合に安易に決めやすいという理由があったためです。

繁忙期に合わせて決算期を決める

繁忙期に合わせて決算期を決めるという決め方もあります。一般的には少ないですが、たとえば取引先との兼合い、ライセンスの兼合いなどにより赤字にすることができない場合、繁忙期を決算期にすると、繁忙期はその1年で一番利益が計上される月になるので、赤字になるリスクを抑えられるのがメリットです。また繁忙期は最も売上が上がるタイミングのため資金的にも余裕があり、納税資金に困らない可能性が高くなります。

繁忙期を避ける

反対に繁忙期を避け閑散期を決算期にするという決め方もあります。

また繁忙期を避けるという意味では税理士の繁忙期を避ける方法もあります。税理士の繁忙期は基本的に法人の決算月の多さに比例します。税理士の繫忙期ということは、1社に対して割ける時間が少ないということになります。税理士の繁忙期にあたる決算期の会社が多い3月、9月、12月を避けるということは、多くの時間を使ってもらえるというメリットがあります。

納税月に合わせて決算期を決める

個人の場合は確定申告書の提出と納税の期限は、その年の翌年3月15日と定められています(15日が土日祝の場合には翌平日)。そして法人の場合は、決算期の翌日から2月を経過する日(3月31日が決算期の場合、5月31日)が申告書などの提出と納税の期限となります。そのため、納税期限において資金が手元にある月を考慮して決算期を決めるという方法もあります。資金が手元にある月とは法人税や消費税、法人事業税や法人住民税以外で、まとまった税金の支払いのない月などです。

<具体的なまとまった税金の支払い日>
1月20日(源泉の納期の特例の適用を受けている場合)
2月28日(固定資産税・都市計画税【第4期分】)
4月30日(固定資産税・都市計画税【第1期分】)
5月31日(自動車税等)
6月10日(住民税特別徴収額の納期の特例の適用を受けている場合)
7月10日(源泉の納期の特例の適用を受けている場合)
7月31日(固定資産税・都市計画税【第2期分】)
12月10日(住民税特別徴収額の納期の特例の適用を受けている場合)
12月31日(固定資産税・都市計画税【第3期分】)

※ その日が土日祝の場合、翌平日

消費税の免除期間を長くする

消費税の免税期間が一番長くなるタイミングで決めるという方法があります。原則として資本金が1,000万円未満で、一定の要件を満たすほかの法人に支配されていない新たに設立した法人については、消費税が第1期、第2期は免税となります。そこでこの要件を満たす場合、設立日から1年後を決算期とすれば、2年間消費税は免税となります。

ただし、1期目の事業年度開始の日から6ヵ月の期間における課税売上(消費税の課税の対象となる売上)または、給与などの支払額の合計額が1,000万円を超えた場合には、第2期目は課税事業者となるので注意が必要です。法人成りをした場合など第1期目から課税売上と給与の支払額が1,000万円を超える可能性がある場合には、第1期目は7ヵ月以下とする方法もあります。第1期目が7ヵ月以下の場合には、上記の6ヵ月間の売上高および給与などの支払額による判定はありません。

中間申告とは?

現在大半の企業が事業年度を1年としています。しかし、事業年度を1年とすると国や地方公共団体は税収が1年たたなければ発生しません。また1年ごとに税額を計算すると高額となり納税されない可能性もあります。そこで、一定の要件を満たす場合には中間申告という制度により申告および納税が法律により定められています。

【法人税】
対象者:事業年度が6ヵ月を超える法人で、かつ、「前事業年度の確定法人税額 / 前事業年度の月数×6ヵ月」(以下「前年度基準額」という)で計算した金額が10万円を超える事業者など一定の要件を満たす事業者。

申告回数:

出典:国税庁|第1章 総則と申告に関する規定

【消費税】
対象者:中間申告書の提出が必要な事業者は、個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度の消費税の年税額(地方消費税額は含まない)が48万円を超える者で、課税期間の特例制度を適用していない事業者。

申告回数:

【法人事業税および法人住民税】
対象者:事業年度が6ヵ月を超える法人で、かつ、法人税の中間申告の義務がある事業者など一定の要件を満たす事業者。

申告回数:法人税の場合と同様

半期決算と四半期決算の違い

上記の中間申告は法律により義務とされていますが、法人が独自に自社の経営に役立てるためや外部関係者などに報告するために期の途中で決算をおこなう場合があります。この場合多いのが半期決算や四半期決算となります。

半期決算とは、事業年度を半年ごとの期間で締めます。
四半期決算とは、事業年度を3ヵ月ごとの期間で締めます。

このような半期や四半期で決算をおこなうメリットは、早い段階で自社の状況を把握し、問題点を洗出し、対策を打つことにより、経営の健全化、安定化を図れることです。
また、早い段階で状況が確認できるため納税額の予測などが立ちやすく、資金繰りの計画も立てやすくなります。

デメリットには、決算作業が年に複数回おこなわれることによる業務量の増加があります。

決算期を変更するにはどうすればよいのか?

決算期の変更は決められた手続きをすることにより可能です。

決算期を変更するにはまず定款を確認します。現在多くの会社は定款において事業年度を定めていますが、事業年度を定款で定めている場合には定款を変更する必要があります。この定款を変更するには株主総会の決議が必要となり、株主総会を経て事業年度変更が承認されると原則としては定款を変更できます。
定款が変更されると無事事業年度が変更されますが、忘れてはいけないのが税務署への届け出です。事業年度を変更した場合には「異動届出書」を税務署へ提出します。異動届出書には必要事項を記載し、変更した定款の写しを添付して提出すれば、事業年度変更の手続きが完了となります。事業年度変更は登記が不要なため、比較的容易におこなうことができます。

事業年度を変更する場合のメリット・デメリットを確認しましょう。

メリットとしては先述のとおり、しっかりと検討した上で変更をおこなうと、節税がおこなえる場合があったり、資金繰りが楽になる場合があったり、複数の法人や法人個人の両方有している場合には業務が楽になる場合があったりすることがあげられます。

その反面デメリットとしては、事業年度は1年を超えることができないため、変更をすると変更した年は1年以内に決算を迎えることとなり、通常よりも短期間で決算作業が必要となります。それにともなって、納税資金や税理士への決算報酬の支払いが前倒しでかかります。

まとめ

基本的に法人は決算期を自由に決めることができ、必要な手順をおこなえばいつでも自由に変更できます。そのため決算期の変更が自社にとって最適であると判断した場合、決算期を変更することをおすすめします。ただし、決算期を変更した場合、申告・納税がそれまでと異なる時期になりますので、忘れないように注意してください。

執筆者プロフィール:
冨川 和將(税理士)
起業・設立のサポートから財務体質の改善までを得意としており、融資のサポート、資金繰り計画のサポート、経営計画作成・運用のサポート、経営者のライフプランのサポートも積極的におこなっている。さらに相続税の申告や法人・個人の税務調査対応、税務訴訟における税理士補佐人としてサポートと幅広く経営者の参謀役として業務をおこなっている。

上記内容は、執筆者の見解であり、住信SBIネット銀行の見解を示しているものではございません。

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