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法人のお客さま 経営TIPS

会社設立にかかる費用はいくら?費用の種類、手続きも解説

  • 公開日:2021年12月16日

株式会社が1円でも設立できると聞いたことがあるでしょうが、実際に株式会社を資本金1円で設立することはできたとしても、設立にかかる費用は1円ではすみません。ここでは、自分に合った会社設立の方法を選択できるよう、株式会社の設立の手続きの方法や費用の解説、合同会社との比較を紹介します。

株式会社と合同会社

日本の会社法のもとで設立できる会社の種類には、株式会社・合同会社・合名会社・合資会社の4種類があります。合名会社・合資会社は、無限責任社員が1名以上必要なこともあり、ほとんど設立されません。株式会社と合同会社は、出資者の責任が出資額の範囲内の有限責任であり、無限責任のように会社の借入金などまで支払いを要求されるようなリスクを抑えることができます。現在日本で設立される会社のほとんどは株式会社か合同会社です。

株式会社の設立にかかる費用相場

株式会社設立の過程としては、

  1. 会社の枠組みを決める
  2. 定款を作成する
  3. 出資金を払込む
  4. 設立登記をおこなう

という流れになります。

主に費用がかかる場面としては、2の定款の作成と4の設立登記です。特に定款を作成する際には、紙で作成された定款を認証してもらうために、4万円の収入印紙を貼付しなければなりません。ここでは費用削減のメリットがある電子認証でのケースを紹介していきます。

定款認証、謄本手数料

株式会社を設立する際には、会社の商号や資本金、業務内容などを定めた定款を作成して、公証役場で公証人に認証をしてもらわなければなりません。定款認証に際して公証人に支払う手数料は5万円です。また通常は設立登記用に定款の謄本を請求しますので、1枚につき250円の手数料がかかります。定款の枚数により変化しますが、2,000円程度と見積もれば十分でしょう。

設立にかかる登録免許税

株式会社は設立したら登記しなければなりません。これを設立登記と呼びます。設立登記は法務局で申請をおこないますが、そのときに登録免許税をあわせて納付します。株式会社設立の登録免許税は、資本金の額の1000分の7と定められています。ただし最低額が15万円となっていますので、資本金が2,000万円程度までであれば、15万円が適用されます。

資本金

2006年以前は株式会社を設立する際に1,000万円以上の資本金が必要でしたが、2006年の新会社法の施行にともない、最低資本金のルールが無くなり、資本金の額は任意で設定できることになりました。したがって、資本金1円で株式会社を作ることも可能です。なお、許認可を必要とする業務をおこなう場合には、最低資本金の額が定められていることもあるので、設立の際にはよく調べてから資本金を決定しましょう。

合同会社の設立にかかる費用相場

合同会社は2006年の新会社法の施行により設立が認められるようになった会社形態です。合同会社設立の過程として、

  1. 会社の枠組みを決める
  2. 定款を作成する
  3. 出資金を払込む
  4. 設立登記をおこなう

という流れは、株式会社と同じです。

ただし、定款認証が必要ではなかったり、登録免許税の最低金額が6万円であったりと、費用面では安く設立することができます。

株式会社との相違点

合同会社の場合、定款認証は不要です。したがって謄本を請求する必要もありませんので、定款認証とあわせて約5万2,000円安くなります。また登録免許税も1000分の7という率は同じですが、最低額が6万円です。資本金が850万円を超えなければ、6万円ということになります。株式会社の設立と比較すると資本金の小さな会社を設立する場合には、約14万2,000円も安く設立することができます。

以下は、株式会社と合同会社の設立に関する費用をまとめた表です。

行政書士・司法書士に設立手続きを依頼する場合の費用

会社設立に関して、すべて自分でおこなうこともできますが、行政書士や司法書士などの専門家に依頼することで、手間や時間をかけずに会社を設立することができます。
また、専門家に依頼することで、書類の不備や必要な業務を定款に入忘れることなどを防ぐことができます。報酬は自由化されているので、各専門家次第ですが、一般的には5万円から10万円が相場です。
報酬無料を掲げる専門家もいますが、その際は別途顧問契約を結ぶ必要がある場合もあります。

専門家に依頼する際には、値段だけで判断せず、信頼できるかを重視するといいでしょう。

創立費と開業費

会社を作って開業するまでにはさまざまな費用がかかりますが、おおむね創立費と開業費に分類されます。
創立費とは会社の設立のために支出した費用です。登記に関する費用がこれに含まれます。
一方の開業費は、会社の設立後、開業までに特別に支出した費用です。家賃や光熱費など定期的に発生するものは開業費として認められない一方、オフィスの什器など10万円以下の固定資産であれば開業費に含めることができます。開業費に該当するか分からない場合には、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

創立費も開業費も費用計上できるので、領収書を残して記帳すれば、1期目の費用とすることができます。ただし創立費と開業費は、繰延資産として計上することが認められているので、繰延資産とすることで2期目以降に償却することが可能です。
償却方法は、5年の均等償却もしくは任意償却を選択できます。任意償却を選択すれば、好きな時期に繰延資産を償却することが可能です。特に開業したての時期は利益が出にくいことが多く、1期目の費用とするよりは繰延資産に計上して、事業が黒字化したタイミングで償却すれば、税制上のメリットが得られます。

出典:国税庁|償却期間経過後における開業費の任意償却

そのほかに必要な費用

そのほかに必要な費用は、会社の事業内容、形態によって異なります。事務所を借りて営業を開始する場合、事務所の家賃や光熱費が必要となりますし、物販をおこなうのであれば、商品の仕入れ代金などが必要です。

法人の場合、社長1人の1人法人であっても、厚生年金の強制適用事業所となります。またあわせて健康保険や労災保険などほかの社会保険にも加入します。これらの社会保険料は原則労使折半ですので、開業後は毎月費用として発生することになります。

税金は、主に決算を過ぎてから発生するものが多いですが、注意しておく項目です。法人が払う税金としては、以下のものがあります。

  • 法人税
  • 地方法人税
  • 法人事業税
  • 消費税
  • 固定資産税など

特に法人地方税は、均等割というものがあり、市区町村民税が5万円、都道府県民税が2万円の合計7万円は決算が赤字であっても払わなければなりませんので、覚えておきましょう。

株式会社と合同会社どちらがいい?

株式会社も合同会社も、それぞれメリット、デメリットがあり、どちらを選択するのがよいかは、設立者の選択次第です。

それぞれの主なメリット、デメリットを以下にまとめました。

株式会社と合同会社を比較した場合、合同会社が設立・維持費用ともに安くなります。株式会社を設立する場合には約20万円(電子定款の場合)かかり、それに加え決算公告や取締役登記などの維持費用がかかります。一方、合同会社は設立費用が6万円(電子定款の場合)で、維持費用はかかりません。

株式会社といえば、一般の方でも知らない人はいないでしょうし、また代表取締役は地位が高いと理解されるでしょう。一方で合同会社は、一般の認知度が低い上に代表社員が会社のトップであるといっても、一般の人には上の地位なのかは理解しにくいでしょう。
また、一般の認知度が低い合同会社は、取引などの際に制約を受ける可能性がある点が大きなデメリットです。

株式会社の場合は、株主の権利の大きさは出資の額で決まります。したがって、多くの人から出資を受けた場合でも、51%以上の議決権を保有していれば、否決されることはありません。一方、合同会社は出資者の権利は対等であり、出資者を多くすると、意見が合わなくなった場合に会社の経営が滞る可能性があります。
また、利益配分に関して、株式会社は出資の額に比例し配当などを受け取る権利が発生するので、少数株主に多く利益を渡すことはできませんが、合同会社の利益配分は出資額に比例しなくてもよいので、優秀な社員に多く利益を配分することができます。

株式会社と合同会社のどちらを選択するかは、設立費用だけでなく、将来の事業の方向性などを考えておこないましょう。

まとめ

会社設立は、主に株式会社もしくは合同会社を設立できます。費用面から見ると合同会社のほうが安く設立することができますが、一般的な認知度などは株式会社のほうが高いです。どちらを選ぶかは、メリット、デメリットを勘案して検討するようにしましょう。会社は一度登記すると内容を変更するたびに登録免許税が必要となりますので、設立登記の際に必要な事項を入忘れないように行政書士や司法書士に相談するのもよいでしょう。費用だけで判断せず、自分の目標に合った会社設立をおこなってください。

執筆者プロフィール:
青野 泰弘(ファイナンシャルプランナー・行政書士)
青野行政書士事務所 代表。大学卒業後、数社の証券会社で債券の引受けやデリバティブ商品の組成などに従事。2012年にFPおよび行政書士として独立。相続、遺言や海外投資などの分野に強みを持つ。お金の悩みはたくさんあるが、身近な人には相談しにくいもの。また金融の話には難しい言葉があり、敬遠する人も多いかもしれない。金融を分かりやすい言葉で多くの人に理解してもらえるように説明している。

上記内容は、執筆者の見解であり、住信SBIネット銀行の見解を示しているものではございません。

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