NEOBANK 住信SBIネット銀行
ログアウト
メニュー

法人のお客さま 経営TIPS

わかりにくい法人の種類を一覧で比較解説!法人設立前に押さえておくべき基礎知識

  • 公開日:2021年12月16日

いざ起業するとなると重要なポイントの一つが法人の形態です。多くの場合、会社形態が選択されますが、やりたいことの内容によっては、別の法人形態を選択したほうがよいこともありますし、法律で特定の法人の形態を選択しなければならないこともあります。ここでは、法人の形態に関する基礎を説明します。どのような形態の法人を選択するかの参考にしましょう。

主な法人の種類

法人といえば真っ先に思い浮かぶのは「会社」でしょう。しかし、法人には会社以外にもさまざまな形態があります。社団法人や財団法人、そのほかにも宗教法人や医療法人など法律によってさまざまな法人の種類があるのです。

さらに、法人の種類によっては営利を目的とするものや非営利を目的とするものがあります。さらに非営利の中でも特定の要件を満たせば、公益法人として認定を受けることもできます。

この記事では、さまざまな形態がある法人の中でも株式会社・合同会社・社団法人・財団法人・NPOの5つに分けて比較していきます。

なお、2004年の法律改正以後は新たに設立できなくなりましたが、以前は有限会社が存在していました。今、「有限会社」とついている会社は、法律上は株式会社として扱われています。新規の設立はできませんので、有限会社と名のついている会社は少なくとも2004年以前から続く会社です。

株式会社

法人の中の一つの形態である会社、その中でも最もポピュラーなのが株式会社です。株式会社とは、出資者から出資を受けて、そのお金を元手に会社を運営していく形態です。出資者は株主と呼ばれます。また、経営する側の代表者は代表取締役と呼ばれ、それ以外で経営する役員は取締役と呼ばれます。

株式会社は株をもっている人が株主総会での議決権をもち、会社の役員構成などについて決定権があります。経営に関することは代表取締役や取締役に任せつつ、それらの役員自体は株主総会で決めます。このようなことから、株式会社は株主が所有しているということになります。

株主が出したお金を元手に、代表取締役や取締役が会社を経営して利益を上げていき、その一部を配当金の形で株主が受け取ります。会社の所有者である株主と経営する代表取締役や取締役が分かれていることから、「所有と経営の分離」といわれます。

こうしたことは大企業などでは当然のことですが、最初に会社を作るときには、多くの場合自ら出資して株主兼役員になる一人起業の形態がとられます。このような形態では、所有と経営は分離していません。いずれ事業が拡大して、外部の出資者から出資を受けるようになると、徐々に所有と経営が分離していくことになります。

株式会社の設立にかかる経費は、登録免許税として最低15万円、公証人による定款認証の費用として約52,000円です。また定款を紙で作成する場合には印紙代として4万円もかかります。

なお、電子定款という方式を使う場合、印紙代4万円はかかりません。司法書士や行政書士などの専門家に依頼する場合、専門家は電子定款を使用しますので、印紙代4万円分が節約できます。その節約した分と同額を専門家の報酬としている事務所もあります。つまり、結果的に起業家自身が紙の定款で申請した場合とほとんど変わらぬコストで専門家に定款作成を依頼できることもあるわけです。

合同会社

株式会社に次いで多いのが合同会社です。株式会社と異なり、出資者がそのまま経営者になります。出資者は「社員」と呼ばれます。一般的に社員というと従業員という意味合いをもつこともありますが、合同会社の社員といえば、出資者を意味します。

さらに、社員の中でも特に経営に関与する者を決めることもできます。この場合、経営に関与する社員を業務執行社員と呼びます。また、業務執行社員の中から、合同会社を代表する社員である代表社員を決めることができます。ちょうど株式会社の取締役と代表取締役のような関係です。

設立にかかる費用は登録免許税として最低6万円です。また定款を紙で作成する場合には印紙代として4万円もかかります。株式会社と違って、公証人による定款の認証は不要です。なお、こちらも前述同様、専門家に依頼した場合でも、電子定款のコスト削減の恩恵により、自身が紙で申請した場合と同様のコストで専門家に依頼できる可能性があります。

合資会社・合名会社

会社には合資会社や合名会社という形態もあります。株式会社や合同会社が会社の大部分を占めていますので、数としてはそれほど多くありません。

出資者がそのまま経営者になるという点では合同会社と同じですが、出資者の責任が異なります。合名会社や合資会社の社員は「無限責任」です。

無限責任というのは、たとえば会社が倒産したときの負債を、社員が個人的に引き受けるということです。株式会社や合同会社の出資者は出資額の範囲で責任をもつ有限責任であるのに比べると、合名会社や合資会社の責任は重いといえます。ただし、合資会社では、有限責任社員が1人以上必要ですので、合資会社でも有限責任社員については、出資額の範囲で責任をもてばよいということになります。

合資会社や合名会社においても、代表社員や業務執行社員を定めることができる点は合同会社と同様です。

設立にかかる費用は合同会社と変わらず、登録免許税として最低6万円です。また定款を紙で作成する場合には印紙代として4万円もかかります(電子定款による場合、印紙代4万円はかかりません)。

(一般・公益)社団法人

会社以外の法人の形態として最も多いのが、社団法人です。会社のように営利を主目的としない場合でも法人形態で活動したいというケースなどで設立されます。営利目的での活動も可能です。

社団法人には一般社団法人と公益社団法人があります。
公益社団法人とは、社団法人の中でも特に公益性が強いものとして、基準を満たした場合に、一般社団法人から移行することができます。公益社団法人は、法人税の計算において優遇を受けられるなどのメリットがあります。満たすべき基準は多岐にわたるので、公益認定を受けるのは非常にハードルが高いといえます。公益社団法人以外の法人を一般社団法人と呼びます。

社団法人では、社団の運営をおこなう者を理事、さらに理事の中でも社団法人を代表する者を代表理事と呼びます。また、理事のほかに、理事の業務をチェックする者として社員も必要です。株主のようにお金を出資するわけではありませんが、ちょうど取締役の業務を監督する株主の立場に似ています。社員は最低でも2名必要ですが、理事を兼務することもできます。社員のうち1人が理事を兼務するとしても、社団法人の設立には最低2名は必要ということです。

設立にかかる費用は登録免許税として6万円です。公証人による定款認証の費用として約52,000円です。また定款を紙で作成する場合には印紙代として4万円もかかります(電子定款による場合、印紙代4万円はかかりません)。

(一般・公益)財団法人

財団法人とは、ある目的のために集められた財産を保有・管理するための法人です。一例をあげると、美術館に展示するために集められた美術品を管理するために財団法人を設立するといった形です。

財団法人も、社団法人と同じく一定の基準を満たすことで公益財団法人として認定を受けることができます。公益認定を受けると、税金の計算などで優遇を受けられることは、社団法人と同様です。

社団法人と同じく、財団法人でも理事を置かなければいけませんが、財団法人の場合は最低でも3名の理事が必要となります。また、財産を管理する法人ということで、監事という者も最低1名が不可欠です。つまり、財団法人の経営陣は最低でも4名必要になります。

さらに財団法人では評議員といって、理事の業務や財団の経営状況をチェックする者が3名以上いなければなりません。チェック機関である評議員は理事や監事を兼任できません。経営陣と合わせると、財団法人を設立するには最低でも7名必要になるのです。

設立にかかる費用は社団法人と同じく登録免許税として6万円です。公証人による定款認証の費用として約52,000円です。また定款を紙で作成する場合には印紙代として4万円もかかります(電子定款による場合、印紙代4万円はかかりません)。また、財団法人の場合は、拠出金として300万円が必要となります。

NPO法人

NPO法人とは、非営利活動をおこなう法人です。非営利活動といえば社団法人や財団法人などでもおこなうことがありますが、NPO法人の場合は、非営利活動の分野が法律によって20分野にわたって決められているのが特徴です。その20分野の中で、それぞれの目的にあわせて活動をおこなっていきます。

NPO法人の場合は設立の登記をおこなう前に都道府県知事の認可を受けなければなりません。この認可を受けるために3~6ヵ月程度かかりますので、そのほかの法人に比べて、設立できるまでの期間が長くなりますし、認可を受けられなければ設立することもできません。

NPO法人では、理事が3名以上、監事が1名以上必要です。この点は財団法人と同じですが、さらに、理事の監督や法人の運営状況のチェックをおこなうための社員として10名いなければなりません。社員は理事や監事を兼務できるので、NPO法人を設立するためには、最低でも10名は必要なのです。

NPO法人の場合は、設立の際の登録免許税や定款認証の費用は0円です。つまり登記については1円もかけずにおこなうことが可能です。

法人の種類をわかりやすく比較した一覧表

法人の種類でよくある質問

法人の種類を選択するにあたって、よくある5つの質問にお答えします。

法人の種類はあとから変更できるのか?

会社を社団法人にしたり、社団法人を財団法人にしたり、といったことはできません。新たにそれぞれの法人を設立することが必要です。NPO法人のように、そもそも設立に対して都道府県の認可が必要な法人についても、もちろんほかの法人への転換や、他法人からの転換はできません。

ただし、会社形態であれば種類を変更することは可能です。つまり、株式会社を合同会社にしたり、合同会社や合名会社、合資会社を株式会社にしたりすることはできます。

税制優遇される法人はあるのか?

会社に限らず、社団法人や財団法人であっても、収益事業、つまり儲けが発生する事業をおこなえば、その儲けに対して法人税、法人住民税、法人事業税(以下、法人税等)の課税がおこなわれます。

ただし、非営利の要件を満たす社団法人や財団法人は、法人税法に規定された収益事業以外の事業には課税がおこなわれません。非営利法人については、収益事業にのみ課税がおこなわれます。利益が出る以上、非営利の要件を満たす法人といえども課税は避けられないということです。

非営利は公益の認定と混同しやすいのですが、別の話です。
公益認定は都道府県に対して申請することにより認定されますが、非営利は、定款に剰余金の分配をおこなわない定めがある、親族同士である理事が理事総数に占める割合が3分の1以下である、などの形式的要件を満たせば特に手続きをとることなく該当します。

NPO法人は社会貢献が目的であり基本的には課税されませんが、収益事業をおこなう場合には、他の法人と同様に法人税等が課税されます。NPO法人の場合は、収益事業をおこなう際に、税務署や都道府県、市区町村に対して、収益事業開始届などの書類を提出しなければいけません。

法人化せずに会社を名乗ることはできるのか?

法人化をおこなわずに「会社」という名称を使うことは法律で禁止されています。会社法という法律で、会社でない者(個人事業主など)は、相手に会社であると誤解されるような文字を、屋号などに用いてはいけないと規定されています。

また、会社であっても、合同会社が株式会社と名乗るというように、ほかの種類の会社形態であると誤解させるようなこともできません。

宗教法人、医療法人、学校法人とは?

宗教法人や医療法人、学校法人はその名のとおり、宗教活動や医療活動、学校としての活動をおこなうための法人です。いずれの活動内容も公益性が高いため、その設立においては各内容を管轄する官庁の認可を受けなければいけません。宗教、医療、学校といった特定の目的のために設立される法人であり、さまざまな目的のために設立される社団法人や財団法人とは異なります。

社団法人や財団法人は、公益認定を受ける場合を除いて特に認可の手続きをとることなく設立をおこなうことができるのに対して、宗教法人、医療法人、学校法人は設立までの期間も長くなり、手間もかかります。

独立行政法人、社会福祉法人とは?

独立行政法人とは、国策としての研究開発など、政府がおこなうような高度に公益的な事業について、その事業をするために政府から独立して組織された法人です。

社会福祉法人とは、老人ホームや保育園などの社会福祉に関する事業をおこなう際に設立される法人です。設立の認可が必要になるなど先ほどの質問にあった学校法人などに近い形態といえます。

特に老人ホームの運営など社会福祉法人でなければ扱えない事業もあります。
いずれも、ほかの法人の形態と異なり、事業内容が限られていることが特徴です。

まとめ

法人にはさまざまな形態があります。起業する場合、株式会社や合同会社を選択するケースが多いですが、たとえば一般社団法人の形態のほうが運営上都合がよいということもあります。

どのような形態の法人が存在しているかを知っておくことで、自分のやりたいことにあった法人の形態が選択できるようになります。設立の方法や税金面などでどのような違いがあるかということをしっかりと理解しておきましょう。

執筆者プロフィール:
中野 裕哲(税理士・特定社会保険労務士・行政書士起業コンサルタント(R)・CFP(R))
V-Spiritsグループ代表。年間約300件の無料相談を受ける。経済産業省後援DREAM GATEで10年連続相談件数No.1。「相談件数№1のプロが教える 失敗しない起業の法則55」ほか、起業に関する著書多数。

上記内容は、執筆者の見解であり、住信SBIネット銀行の見解を示しているものではございません。

ネット銀行ならではのコストと利便性

住信SBIネット銀行の法人口座なら
メリットいろいろ

  • 手数料が安い
  • オンラインで口座開設
  • 最短翌営業日に取引可能
免許証とスマホだけ!
法人のお客さまメニュー