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【専門家が解説】定款の事業目的の書き方と失敗しないコツ

  • 公開日:2021年12月16日

会社を設立するときに、必ず決めなければならないことの一つが、定款に盛り込む「事業目的」です。事業目的は、どのように記載すればよいかといったことに目が行きがちですが、許認可や信用など検討すべきポイントがあります。今回は、そんな事業目的について、どのような点に注意して決めればよいのかについて解説します。

事業目的とは?

事業目的とは、会社を設立する目的、つまりどんな事業で売上を上げていくのかということを定めるものです。登記上は、単に「目的」と呼ばれますが、以下では分かりやすくするために「事業目的」の言葉を用います。

事業目的を決める際のポイントは以下のとおりです。

適法性

公序良俗に反する、つまり「犯罪をにおわせるような目的はいけません」ということです。また、ほかの法律により、特定の業種の独占業務とされているもの(士業の業務など)を、異なる業種が事業目的とすることはできません。

営利性

「会社は利益を得るために作りましょう」ということです。もし営利を追求しないなら会社ではなく、NPO法人を作るなどします。

明確性

会社の目的は、一般に広く認知された語句を用いる必要があります。略語を用いる場合は、それが一般の人が見て分かるかどうかで判断します。

事業目的の書き方と失敗しないポイント

事業目的を作成するにあたってのポイントは次のとおりです。

同業他社を参考にする

事業目的を作成する際には、同業他社を参考にすることがあります。日本全国の会社の登記事項証明書は、全国どこの法務局でも取得できます。同業他社の登記事項証明書を法務局で取得して、その書き方を参考にすることができます。

ただし、事業目的の表現は法に触れる内容など一定の場合を除いて自由です。せっかく設立する自分の会社です。他社の事業目的を参考にするとしても、自分なりのこだわりの言葉などを盛り込みつつ作成するとよいでしょう。

許認可要件を満たすものを書く

有料職業紹介事業や労働者派遣事業などのように、許認可が必要な事業については、事業目的として、その内容が記載されていないと許認可が受けられない場合があります。

許認可が必要な主な業種としては以下のとおりです。

  • 有料職業紹介事業
  • 労働者派遣事業
  • 古物の売買業
  • 旅行業
  • 建設業
  • 不動産業

など

事業開始にあたって許認可が必要な業務をおこなおうとする場合には、事業目的も、それに合ったものを含めておかなければなりません。記載の仕方についても、許認可の申請の際に細かくチェックされる場合があります。定款作成・登記をする前に、許認可が必要な事業については、記載の仕方も含めて、入念にチェックをしておきましょう。

将来予定している事業も書く

将来的にやるかもしれない事業も事業目的に入れておきましょう。事業目的に入れたからといって、今すぐその事業を開始しなければならないというわけではありません。

目的を分かりやすく、書きすぎない

事業目的を記載するポイントは、簡潔に書くことです。他人が見ても自社の仕事をイメージできることを想像しながら文章を考えましょう。

それとともに、あまり事業目的の数を多くしすぎないことも重要です。事業目的の数に制限はないものの、項目が多いと何をやっている会社か他人から見て分からなくなってしまいます。多くても10~15項くらいに留めておくとよいでしょう。

「前各号に附帯関連する一切の事業」を必ず入れる

この言葉を入れておくことで、さまざまな事業に対応できるようになります。決まり文句として、事業目的の最後に入れておきましょう。

事業目的と事業目標の違い

事業目的とは、定款や登記事項証明書に記載する、どのように売上を上げるかを、第三者に向けて簡潔に伝える言葉であり、会社法で定款に記載しなければならない事項となっています。対して、事業目標は、数年後の売上など社内的な目標を定めるものです。
言葉は似ていますが、まったく別のものです。

業種別の事業目的例一覧

ここで紹介するものは一例ですが、業種別に事業目的の書き方例をまとめました。

IT・インターネット関連

ソフトウェアやハードウェアの開発

通販事業

インターネットによる各種商品の販売
ECサイトの運営
古物の売買業

飲食店・宿泊業

飲食店の経営
テイクアウトによる弁当や総菜などの販売

教育・学習支援業

学習塾の経営
オンラインによる英会話教室の運営

美容・健康事業

美容院の運営
理容院の運営

広告系事業

広告、宣伝の企画及び制作並びに広告代理業

アミューズメント・レジャー

アミューズメント施設の運営

芸能関係

芸能事務所の経営

コンサルティング業

経営コンサルティング
○○に関するコンサルティング

不動産業

不動産の売買、賃貸、管理、分譲及びこれらの仲介業
オフィスビル、マンション等不動産の管理、賃貸

金融・保険業

銀行業
生命保険代理業
損害保険代理業
少額短期保険代理業

FX・投資関連

株式・有価証券の保有及び売買
外国為替証拠金取引
商品先物証拠金取引

人材サービス業

有料職業紹介事業
労働者派遣事業

医療・介護・福祉

医療、介護及び福祉関連の施設運営
介護保険法、健康保険法及びその他関連法に基づく訪問看護事業
介護保険法に基づく居宅サービス事業、居宅介護支援事業、介護予防サービス事業
障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス事業

建設業

総合建設業
とび・土木工事業
リフォーム、修繕及び増改築工事業

運送・物流

運送業
貨物の配送業

事業目的に関するよくある質問

事業目的を決めるときによくある2つの質問に回答しました。

事業目的を変更することはできますか?

一度決めた事業目的を変更することは可能です。事業目的は定款に必ず記載しなければならない事項です。そのため、事業目的を変更するには、まず定款を変更しなければいけません。

定款を変更するには、株主総会の決議が必要です。そして、株主総会の決議を経て定款を変更後、登記も変更します。登記の変更の際は、変更後の定款は必要ありませんが、株主総会の議事録を法務局に提出する必要があります。

登記の変更には登録免許税として3万円かかることも認識しておきましょう。この場合、いくつ事業目的を追加や削除をしても、一度の登記の申請でおこなう限りは、3万円がかかります。

事業目的以外の事業を営むと違反になりますか?

事業目的以外の事業を営んだからといって、会社法などの法律で罰せられることはありません。しかし、金融機関に決算書を提出する際などに、定款に載っていない事業を営んでいれば、信用が低下する可能性があります。

「前各号に附帯関連する一切の事業」という記載で、かなり幅広く解釈することができますが、まったくの新規ビジネスを始める際には、改めて自社の事業目的を確認して、必要に応じて、事業目的の変更の登記をおこないましょう。

まとめ

事業目的は普段は表に出ませんが、許認可のときや、登記事項証明書をどこかに提出するときには、商号の次に目に入る重要な記載事項です。自社の業務内容を分かりやすく他者に伝える部分なのでこだわりつつ、許認可をはじめ、法律的な問題がないように記載するようにしましょう。

執筆者プロフィール:
中野 裕哲(税理士・特定社会保険労務士・行政書士起業コンサルタント(R)・CFP(R))
V-Spiritsグループ代表。年間約300件の無料相談を受ける。経済産業省後援DREAM GATEで10年連続相談件数No.1。「相談件数№1のプロが教える 失敗しない起業の法則55」ほか、起業に関する著書多数。

上記内容は、執筆者の見解であり、住信SBIネット銀行の見解を示しているものではございません。

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