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当座貸越とは?基礎知識とメリット・デメリットを解説

  • 公開日:2025年6月 3日

企業経営において資金繰りは常に重要な課題です。その中で、当座貸越という金融サービスをご存知でしょうか。この記事では、当座貸越の基礎知識と、その利用によるメリットとデメリットについてわかりやすく解説します。当座貸越の仕組みを理解し、適切に活用することで、より柔軟な資金運用が可能になり、ビジネスチャンスを逃さない経営判断につながるでしょう。

目次

当座貸越の概要

当座貸越とは、借入可能な「借入限度額(極度額)」を設定し、その範囲内で借入と返済を繰り返すことができる融資サービスです。この仕組みは、企業の日々の資金需要に柔軟に対応するために設計されており、特に中小企業や成長期の企業にとって有用なツールとなっています。当座貸越を利用することで、一時的な資金不足を解消し、円滑な事業運営を維持することが可能になります。

当座貸越の基本的な仕組みは、通常の借入とは異なります。当座貸越契約期間中に、一度極度額を設定すると、その都度融資申請を行う必要がありません。これにより、急な支払いにも迅速に対応できるという利点があります。

ただし、当座貸越には銀行毎に限度額が設定されており、この範囲内でのみ利用が可能です。また、利用した金額に対しては金利が発生するため、効率的な資金管理が求められます。

当座貸越は、企業の資金調達手段の1つとして重要な役割を果たしています。しかし、その利用にあたっては、メリットとデメリットを十分に理解し、自社の財務状況に適した方法で活用することが重要です。

当座貸越のメリット

急な資金需要への対応

当座貸越は、企業の資金繰りを柔軟にサポートする金融サービスとして、急な資金需要に対応するツールとなります。予期せぬ支出や季節変動による一時的な資金不足に直面した際、当座貸越を利用することで、迅速かつ効率的に必要な資金を調達できます。この仕組みにより、企業は常に一定額の現金を手元に置く必要がなくなり、運転資金の効率的な管理が可能になります。例えば、大口取引先からの入金が遅れた場合や、突発的な設備投資が必要になった際にも、当座貸越を活用することで事業の継続性を確保できます。

さらに、当座貸越は事前に設定された限度額内であれば、必要な時に必要な金額だけを借入れることができるため、資金需要の変動に合わせた柔軟な対応が可能です。これにより、過剰な借入を避けつつ、必要最小限の資金調達を実現できます。

ただし、急な資金需要に対応できる便利なツールである一方で、適切な管理と計画的な利用が重要です。経営者は当座貸越を単なる緊急避難的な手段としてだけではなく、戦略的な資金管理の一環として位置づけ、効果的に活用することが求められます。

手続きの簡便性

当座貸越の利点の2点目は、手続きの簡便性にあります。一般的な融資と比較して、当座貸越は非常にスムーズに資金を調達できる仕組みです。事前に当座貸越契約を結んでおけば、必要な時にすぐに借入が可能となります。煩雑な書類作成や審査のプロセスを経ることなく、即座に資金を引き出すことができるのが特徴です。

また、借入の都度、新たな契約を結ぶ必要がないため、時間と労力を大幅に節約できます。特に、頻繁に資金需要が発生する事業者にとっては、この簡便性が非常に魅力的です。ただし、この簡便性を活用するためには、適切な与信枠を設定しておくことが重要です。手続きが簡単だからこそ、慎重な資金計画と返済能力の見極めが求められます。

当座貸越のデメリット

金利負担

当座貸越を利用する際の金利負担は、経営者にとって重要な事項です。一般的に、当座貸越の金利は他の融資形態と比較して高めに設定されています。これは、銀行側にとってリスクが高い融資形態であるためです。金利は日々の残高に対して計算され、毎月または四半期ごとに支払うのが一般的です。例えば、年利3%の当座貸越を1,000万円利用した場合、月あたりの金利負担は約25,000円となります。

また、金利負担を軽減するためには、当座貸越の利用を必要最小限に抑えることが重要です。資金繰りを適切に管理し、可能な限り自己資金で対応することで、金利コストを抑制できます。さらに、複数の銀行と取引がある場合は、金利条件を比較検討することも有効です。

なお、金利負担は経費として計上できるため、税務上のメリットもあります。ただし、過度な依存は財務体質の悪化につながる可能性があるため、慎重な判断が求められます。経営者は、金利負担と資金調達の柔軟性のバランスを意識しながら、当座貸越を活用することが重要です。

(参考:国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm

借入限度額の制限

当座貸越には借入限度額が設定されており、これが利用する上での制限となります。法人の当座貸越の場合、通常限度額は当該法人の信用力や取引実績に基づいて金融機関が決定します。この借入限度額は、企業の資金需要を完全に満たせない可能性があります。特に、急激な成長期にある企業や、季節変動の大きい業種では、設定された限度額が十分でない場合があります。そのため、事業拡大や大型投資の際には、当座貸越だけでなく、他の資金調達手段も併せて検討する必要が出てくるでしょう。

また、借入限度額は固定されているわけではなく、企業の業績や金融機関との取引状況によって見直されることがあります。業績が悪化した場合、限度額が引き下げられるリスクもあるため、常に自社の財務状況と借入限度額のバランスを注視することが重要です。

一方で、借入限度額の存在は、過剰借入を防ぐ役割も果たしています。これにより、企業の財務健全性を維持し、返済能力を超えた借入を抑制する効果があります。経営者としては、この制限を適切な財務管理の機会と捉え、計画的な資金運用を心がけることが賢明です。

当座貸越の財務諸表への影響

貸借対照表では、当座貸越額が短期借入金として負債の部に計上されます。これにより、流動負債が増加し、企業の短期的な支払能力を示す流動比率が低下する可能性があります。一方、キャッシュフロー計算書では、当座貸越の利用は財務活動によるキャッシュフローとして反映されます。これは企業の資金調達活動を示す指標となり、投資家や金融機関に対して重要な情報です。

損益計算書においては、当座貸越に伴う支払利息が営業外費用として計上されます。この利息費用は企業の収益性に影響を与え、特に頻繁に当座貸越を利用する企業では、利益率の低下につながる可能性があります。

経営者や財務担当者は、当座貸越が財務諸表に与えるこれらの影響を十分に理解し、適切な資金管理と財務戦略の立案に活用することが重要です。

税務上の取扱い

当座貸越の税務上の取扱いについては、主に利息の扱いが重要となります。当座貸越による借入金の利息は、原則として損金算入が認められています。これは、事業の遂行に必要な資金調達のコストとして認識されるためです。法人税法上、当座貸越の利息は「租税公課」ではなく「支払利息」として処理されます。この支払利息は、発生主義に基づいて計上する必要があります。つまり、実際に支払った時点ではなく、利息が発生した期間に応じて費用計上することが求められます。

また、当座貸越の限度額を超過した場合に発生する延滞利息についても、通常の利息と同様に損金算入が可能です。ただし、過度に高利な延滞利息については、税務当局が不相当に高額な部分を否認する可能性があるため注意が必要です。

なお、当座貸越による借入金自体は課税対象とはなりません。これは借入金が返済義務のある負債であり、収益として認識されないためです。ただし、借入金の返済が不可能となり債務免除を受けた場合は、債務免除益として課税対象となる可能性があります。

税務申告の際は、当座貸越に関する取引を正確に記録し、適切に処理することが求められます。特に利息の計上時期や金額について、帳簿との整合性を保つことが重要です。不明点がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

(参考:国税庁 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/28/01.htm

まとめ

ここまで当座貸越の概要からメリットとデメリット、税務上の扱いまで解説してきました。当座貸越のメリットとデメリットから自社に必要なサービスか見極めて活用することをおすすめします。

※住信SBIネット銀行の当座貸越は、法人のお客さまは利用できませんのでご留意ください。(20254月時点)

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