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会社設立のポイントガイド:基礎知識から手続きまで徹底解説

  • 公開日:2025年6月 3日

東京商工リサーチの調査によると2023年に全国で新しく設立された法人数は153,405社で、前年比7.8%増加しました。これは2008年に統計を開始以降、最多を更新しており、起業への関心が高まっています。しかし、多くのかたが「会社設立の手続きが複雑で分からない」といった悩みを抱えているのではないでしょうか。そこで、この記事では、会社設立に必要な手続きから会社設立後の手続きまで解説します。

(参考:東京商工リサーチhttps://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198586_1527.html

目次

会社設立の基礎知識

会社設立は、事業を本格的に展開する上で重要な第一歩です。法人格を取得することで、個人事業主とは異なるメリットを享受できます。例えば、社会的信用の向上や資金調達の容易さ、事業リスクの分散などが挙げられます。

会社形態の種類と特徴

会社設立を検討する際、まず理解しておくべきなのが会社形態の種類と特徴です。日本の会社法では、主に以下の4つの会社形態が定められています。

  • 株式会社
  • 合同会社
  • 合名会社
  • 合資会社

株式会社:最も一般的な形態で、株式の発行により資金調達が可能です。信用力が高く、大規模な事業展開に適していますが、設立手続きが複雑で費用も比較的高くなります。

合同会社:株式会社と比べて設立手続きが簡素で費用も抑えられます。経営の自由度が高く、小規模事業に適しています。

合名会社:全社員が無限責任を負う形態で、信頼関係の強い少人数での経営に適しています。ただし、社員の個人資産にまで責任が及ぶリスクがあります。

合資会社:無限責任社員と有限責任社員が混在する形態です。資金調達と経営の分離が可能ですが、現代ではあまり選択されません。

それぞれの形態には固有のメリットとデメリットがあり、事業規模や目的、将来の展望に応じて最適な形態を選択することが重要です。特に、経営の自由度や税制面での違いを十分に検討する必要があります。また、近年では株式会社の中でも、取締役会を置かない機関設計を選択できるなど、柔軟な運営が可能になっています。自社の成長戦略に合わせて、最適な会社形態を選択しましょう。

個人事業主との違い

個人事業主と法人を比較すると、責任の範囲や信用力、資金調達の容易さなどに違いがあります。個人事業主は事業と個人の財産が一体化しており、事業の負債に対して個人資産も責任を負います。一方、法人は法人格を持つため、原則として法人の負債は会社財産の範囲内に限定されます。

信用力の面では、法人は法人格を有することで取引先や金融機関からの信頼を得やすく、事業規模の拡大や新規取引の開拓がしやすい傾向にあります。また、資金調達においても、法人は株式発行や社債発行など、個人事業主にはない選択肢があります。

税制面では、個人事業主は所得税の累進課税が適用されますが、法人は法人税の一律課税となり、事業規模が大きくなるにつれ、法人形態の方が税負担は軽くなる傾向があります。

従業員の雇用や福利厚生の面でも、法人は制度を整備しやすく、優秀な人材の確保や定着に有利です。さらに、法人は事業の継続性や承継がしやすいという特徴があります。

一方で、会社設立には個人事業主と比べて手続きが複雑で、維持コストがかかるというデメリットもあります。決算書の作成や株主総会の開催など、法的義務も増えます。事業の将来性や規模、経営方針などを総合的に考慮し、自身の状況に適した形態を選択することが重要です。

会社設立の手順と必要な準備

本章では、株式会社と合同会社の設立手続きの流れを解説します。

株式会社の設立手続きの流れ

①設立の準備(基本情報の決定)

②会社印鑑の作成

③定款の作成

④定款の認証

⑤資本金払込み

⑥登記書類の準備・登記申請

⑦税務署や自治体に開業届け出などの提出

⑧運営開始

① まず、会社の基本情報を決定することから始まります。商号、本店所在地、事業目的、資本金額、発起人、取締役などを決定します。資本金額は最低資本金制度が廃止されたため、1円でも設定可能ですが、事業規模に応じた適切な金額を設定しましょう。

また、発起人の選定も必要です。会社を設立する人のことを発起人といいます。法的には、定款に発起人として署名または記名押印をした人が発起人となります。株式会社の場合、発起人は出資者である必要があるので、1株以上の出資が必要です。

② 設立準備が完了したら会社印鑑を作成します。定款の作成段階では不要ですが、設立登記で必要になるため、あらかじめ作成する必要があります。登記時に必要な「代表者印(会社実印)」と、設立後に必要となる「銀行印」「角印」を用意しておきましょう。

③ 定款を作成し公証人役場で認証を受けます。この際、発起人の印鑑証明書や住民票などの必要書類を準備することが必要です。定款作成についてはこちらをご確認ください。

④ 定款を作成したら、公証人の認証を受けます。定款の認証は、本店の所在地を置く都道府県にある公証役場で行います。認証を受けるにあたって、事前に公証役場に連絡し、定款に問題がないかをチェックしてもらうことも可能です。問題がないことを確認してから、定款の認証を受けることができます。また、20253月に、法務局から定款作成支援ツールが全国展開されました。定款作成支援ツールを利用して作成した定款については、原則として48時間以内に認証手続が完了し、スピーディーに手続きを行うことができます。

⑤ 定款の認証完了後に資本金の払込みを行います。法人口座の開設には登記簿謄本が必要なため、この段階では発起人の個人口座宛てに資本金を払込みます。資本金は法人口座の開設後に、発起人の個人口座から法人口座へ資本金を移動させます。

⑥ その後、登記申請を行います。申請書類は本店所在地を管轄する法務局に提出します。登記完了後は、登記事項証明書と印鑑証明書を取得することができます。

⑦ 税務署や自治体への各種届出が必要となります。法人設立届出書や青色申告の承認申請書、給与支払事務所などの開設届出書などを提出します。さらに、従業員を雇用する場合は、労働保険や社会保険の手続きも必要です。

⑧ 最後に、銀行口座の開設や各種保険への加入など、事業運営に必要な実務的な手続きを進めます。

合同会社の設立手続きの流れ

①設立の準備(基本情報の決定)

②会社印鑑の作成

③定款の作成

④資本金払込み

⑤登記書類の準備・登記申請

⑥税務署や自治体に開業届け出などの提出

⑦運営開始

合同会社の設立の流れで株式会社の設立と異なる点は定款の認証が不要な点です。合同会社は、定款認証が不要であることからそのための費用も不要です。また、手続き期間も省略できるため、株式会社よりも設立までのスケジュールが数日短くなります。ただし、設立時の費用節約やスケジュール短縮だけで合同会社を選択することのないようにしましょう。将来も見据えて意思決定することが重要です。

自分で行う設立と専門家への依頼

会社設立の方法には、自分で手続きを行う方法と専門家に依頼する方法があります。どちらを選択するかは、起業家の経験や時間的余裕、予算などによって異なります。

自分で設立手続きを行う場合、コストを抑えられることが最大のメリットです。必要な書類や手続きを自ら調べ、作成することで、会社設立のプロセスを深く理解できるという利点もあります。しかし、法律や会計の専門知識が必要な場面も多く、手続きの誤りや遅延のリスクがあることは念頭に置く必要があります。

一方、専門家に依頼する場合は、経験豊富な行政書士や司法書士のサポートを受けられます。複雑な手続きや書類作成を任せることで、起業家は本業に集中できるメリットがあります。また、専門家のアドバイスにより、将来的な事業展開を見据えた最適な会社形態の選択も可能です。ただし、依頼費用が発生するため、予算との兼ね合いを考慮する必要があります。

どちらの方法を選択するかは、起業家自身の状況や優先事項によって判断すべきでしょう。時間的余裕があり、コスト削減を重視する場合は自分で行う方法が適しています。一方、確実性や効率性を重視し、専門的なアドバイスを求める場合は、専門家への依頼が望ましいでしょう。

設立後の主な手続き

会社設立後には、スムーズな事業運営を行うために重要な手続きがいくつか存在します。

本章では会社設立後の手続きについて説明します。

税務署への主な届出

会社設立後、税務署への届出は事業を適法に運営する上で不可欠な手続きです。主な届出書類には、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所などの開設届出書などがあります。

  • 法人設立届出書:会社の基本情報や事業内容を税務署に報告するものです。設立日から2ヵ月以内に納税地の所轄税務署長に1部(調査課所管法人は2部)提出する必要があります。

  • 青色申告の承認申請書:会計処理を行う青色申告を選択する場合に提出します。設立第1期の事業年度開始日から3ヵ月以内、もしくは設立第1期の事業年度終了日の前日までに提出しなければなりません。

  • 給与支払事務所などの開設届出書:従業員を雇用し給与を支払う予定がある場合に必要です。給与の支払開始日から1ヵ月以内に提出することが求められます。

その他の申告書類についての詳細はこちらをご確認ください。

これらの届出を適切に行うことで、法人税や源泉所得税などの納税義務を適正に果たすための基盤が整います。税務署への届出は、会社の財務面での透明性を確保し、将来的な税務調査にも備える重要なステップとなります。

(参考:

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5100.htm

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_14.htm

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm

社会保険関連の主な手続き

会社設立後、従業員を雇用する際には社会保険関連の手続きが不可欠です。主な手続きは以下の通りです。

  • 労働保険(労災保険と雇用保険):事業所を管轄する労働基準監督署または公共職業安定所に「保険関係成立届」を提出し、労働保険番号を取得します。そして、その年度分の労働保険料を概算保険料として申告・納付します。

 業種などによって手続き方法が異なりますので詳細はこちらをご確認ください。

  • 健康保険・厚生年金保険:管轄の年金事務所に「新規適用届」を提出し、事業所整理記号を取得します。従業員数が常時5人以上の場合は強制適用事業所となり、5人未満でも任意で加入できます。

 手続きの詳細についてはこちらをご確認ください。

これらの手続きには期限があり、遅れると追徴金や罰則の対象となる可能性があるため、迅速な対応が求められます。社会保険関連の手続きは複雑で、専門知識が必要です。不明点がある場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。適切な手続きを行うことで、従業員の福利厚生を確保し、法令遵守の企業として健全な経営を進めることができます。

その他の必要な手続き

会社設立後も、事業を円滑に進めるためにはいくつかの重要な手続きが残されています。まず、銀行口座の開設が不可欠です。法人名義の口座を作ることで、会社の資金管理が容易になり、取引先との決済もスムーズに行えます。

次に、各種保険への加入も検討しましょう。事業内容に応じて、損害賠償保険や火災保険などが必要となる場合があります。リスク管理の観点から、適切な保険選びは経営者の重要な責務です。

また、事業所の開設届出も忘れずに行いましょう。自治体によって手続きが異なる場合がありますので、所在地の市区町村役場に確認することをおすすめします。

さらに、業種によっては許認可の取得が必要となります。飲食業や建設業、不動産業などは特に注意が必要です。関連する官公庁のWEBサイトなどで必要な資格や条件を確認しておくことが大切です。

まとめ

ここまで会社設立に必要な手続きから会社設立後の手続きまで解説しました。会社設立には手続きは複雑で専門知識が必要になることも多いため、専門家に相談することも考慮し手続きを進めることをおすすめします。

※本記事に記載した内容は、20254月時点の情報です。最新の情報については、公的機関などにご確認ください。

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